ある日、ネットサーフィンをしているとこんな質問を見かけました。
「香典返しは何がいいですか」
「香典返しって現金でもいいんですか?」
「香典返しどういうものを貰うことが多いですか?」
「お付き合いの深い方への香典返しに金券はありですか?」
引用:yahoo!知恵袋

皆さん香典返しについていろいろ悩まれているご様子。特に散見した質問は「香典返しには何がいいのか」というものです。
それらの質問に対する、同サイト内でのそれぞれの回答にはこんなものがありました。
「我が地域では大半が商品券です」
「ざっくばらんな付き合いですと、商品券をもらうほうが正直助かると思います」
「ギフト券でもいいですよ。ほしくもないものを贈るより喜ばれます」
引用:yahoo!知恵袋

私が疑問に思ったのはまずそれでした。
香典返しと言えば、やれ「消えものがいい」とか「金額のわかる商品券はマナー違反だ」などと昔から言われてきました。慣習にならい、忌明けにいただいた香典の半返しを目安にして洗剤や石鹸、お茶、乾物などを贈ることが正しいことだと私も思っていました。
ですが現代の人の考え方は、徐々に変化しているようです。
古来より、神仏融合の宗教観をもつ懐の深い日本人の慣習は、現代においても止まることなく変化を続けています。
以前は仕事上の関係者や友人知人も招いて通夜を行い、翌日告別式を執り行っていた一般葬も、「葬式費用の削減」「価値観の変化」という波に押されて、家族や近しい親類だけで小ぢんまりと執り行う『家族葬』や、葬儀を省いて直接火葬場へ直行する『直葬』への移行が増加傾向にあります。
参考:読売新聞online~進む葬儀の簡略化、「お見送り」は自由な形で~
そこで私は思いました。「葬儀の仕様が時代のニーズに沿って変化するなら、それに関連する慣習も変化してもいいのでは?」と。
今回はそんな時代の流れとともに変わりつつある香典返しにスポットを当てて語っていきたいと思います。
「本当に商品券は適切な香典返しなのか?」と気になっているあなた。必見です。
こんな方におすすめ
- 香典返しについて知りたい方
- 香典返しに何を贈ろうか悩んでいる方
- 香典返しに商品券を贈ろうと考えている方
香典返しとは。慣習からマナーまで一挙に解説!

さて、皆さんお悩みの香典返し。そもそも香典返しとはどんなものなのか? 香典返しの従来の慣習は? お返しのマナーは? などなど疑問はつきないと思われます。

香典返しとは
香典返しとは、故人へのお供え物として現金を袋に包んで葬儀に持参する“香典”のお返しとして、喪家が参列者の皆様へと贈るものをいいます。

香典には「突然の不幸に見舞われた喪家の負担を少しでも軽くしてあげたい」という思いが込めらているので、そのお気持ちへのお返しをすることが礼儀である、ということです。
そんな香典返しですが、いくつかの慣習があります。ポイントをまとめましたのでご覧ください。
- 香典返しは『忌明け(四十九日明け)』の一か月以内にお返しする
- 香典返しの金額はいただいた香典の『半返し』が基本
- 『四つ足生臭もの』と呼ばれる「お肉」や「お魚」を贈るのはタブー
- 慶事を連想させる「お酒」や「昆布」などもタブー
- 金額がわかる商品券はマナー違反
etc……
他にも神仏の様式違いで水引を変えたり、表書きを「御霊前」や「玉串料」というように使い分けたりと、地域の慣習も含めて細かく分類するのならそれこそ数えきれないほどのマナーや慣習が存在します。
今回はどんな香典返しにも共通する事柄をポイントとしてまとめてみました。以下は簡単な解説です。
1.香典返しのタイミング
香典返しは忌明けと呼ばれる法要後四十九日を目安として一か月以内に贈るのが習わしです。喪家がだんだんと不幸から立ち直り、落ち着きを取り戻す時期に、参列者の弔意への感謝の気持ちを伝えるということで望ましいとされています。
2.香典返しの金額は『半返し』
香典返しの贈り物にかける金額はいただいた香典の金額の半分が相場とされています。
全額をそのままお返しするのは「いらぬ気遣いだった」と相手に含みを持たせてしまうため、マナー違反とされています。ほかにも『一家の大黒柱(父親など)が亡くなった時』は現実的な面から香典の金額の三分の一をお返しすることもあるようです。
3.『四つ足生臭もの』はタブー
四つ足生臭ものを香典返しの品に選ぶことは、比較的日本に広く流布されている仏教の宗教的背景からくるタブーとなっているようです。
また、生物の死骸である『お肉』や『お魚』は明確に『死』を連想する材料となりえるので、受け取り方によっては「相手に死を贈る」という意味になりかねないという縁起の悪さもあります。
4.慶事を連想させる品物はタブー
「弔事のお返しの品に慶事を連想させる品は不適格」という至極当然の理屈からタブー視されています。結婚式に菊の花を添えるのは相応しくないだろう、と考えることと同じですね。
5.金額のわかる商品券はマナー違反
「弔意のお気持ちへのお返し」として香典返しを贈るのですから、金額を明確にしてしまうと「あなたにはこれだけお金をいただいたので、これだけのお金をお返しします」とひどく直接的な返礼になりかねません。そういう意味で、商品券はマナー違反だと考える人も多いようです。
特に目上の人間には現金やそれに類似する金券を贈ることはマナー違反とされていますので、贈る際にはぜひ気を付けたい点です。

香典返しにふさわしい品物
香典返しには守るべき慣習があるのは分かりました。では香典返しにふさわしい品物はどんなものなのでしょうか。
香典返しには『消えもの』が良い
香典返しには消えものが良いとされています。
消えものとは使用すればすぐに消えてしまうもの、つまり消耗品のことを指します。消えものを選ぶ理由として、不祝儀が長く続かないようにという思いを込めるため、というのが一般的です。

- 石鹸・洗剤
- お茶
- お菓子
- 海苔
お茶やお菓子、石鹸、洗剤などは食べてすぐなくなる、使っているうちになくなる、という点で選ばれているようです。
さらに言うなら、お菓子は季節に合わせて水菓子を選んだりするとより相手への気遣いを表すことができて喜ばれるでしょう。
お茶なども茶葉をそのまま贈るよりも、最近ではスティックタイプのお湯を注ぐだけで飲むことができる緑茶や紅茶の詰め合わせがありますので、そちらを贈答すると相手の手間が減り、良いかもしれません。
海苔は本来縁起物ですが、その意味は『幸運を恵まれますように』というものですので「不幸を払い、幸運に恵まれる」という願いを込めて贈ることでマナー違反とはならないようです。

最近注目を浴びている『カタログギフト』
「香典返しに不要なものを贈ったら鬱陶しがられないかな」とお悩みの方には最近注目を浴びている『カタログギフト』をご紹介します。
カタログギフトとは贈られたいギフトを相手に直接選んでもらうという画期的なものであり、カタログについているはがきでギフトの申し込みをすることで相手に品物が届くという仕組みです。
こうすれば相手にとって不要なものを贈ってしまうということは避けられますし、カタログの中にはタブーの品でもあるお肉やお魚もありますが、受け取った相手が申し込む分にはマナー違反にならず、品物の選択肢も広いということで、香典返しのみならず祝儀のお返しや贈り物として選ぶ人も増えているようです。
カタログギフトや香典返しに選ばれる品に関しては別の記事で詳しくまとめてありますのでそちらも併せてご覧ください。
香典返しに“ギフト券”はあり?

結論から言えば、香典返しに商品券はマナー違反だというのが一般的です。先も説明した通り、金額が明確になる、目上の方に贈る機会もあるため失礼になる、などの理由があります。
たしかに理想としては、忌明けのタイミングで、改まった品として贈る場合にはあまり相応しくない品かもしれません。
ですが冒頭でも取り上げたように、商品券を香典返しの品として渡すことは実際にあるようで、決まった品を贈られるより、欲しいものに換えられる商品券のほうが嬉しいという声も納得ができます。
マナーとしてはグレーゾーンだけど、実際の贈り物としてなら喜ばれやすい、と商品券やギフト券は実に微妙な立ち位置です。

香典返しに選ぶにはちょっと変わり種かもしれない、そんなギフト券ですが、実は時と場合によってはマナー違反にもならず、とても実用的な贈り物として喜ばれることもあります。
香典返しに、ギフト券はアリです。少なくとも、私はそう考えています。
現代の葬式事情
最近は葬儀の簡略化が進み、参列者を招いて通夜を執り行い、後日告別式を行う一般葬と呼ばれる形態から、家族や近しい親類だけで小ぢんまりとすませる『家族葬』や、葬儀を行わずに直接火葬場へ向かう『直葬』などが増加傾向にあります。
これらの背景には葬儀費用をおさえる合理化という考え方があり、時代の流れとして、そういう思想が受け入れられるようになってきたということなのでしょう。
他にも故人の意向として「葬儀を派手に行わないでほしい」と遺言を残す方も少なくないようです。
家族葬や直葬といった葬儀形態が増加すると、伴って香典も、遺族側のほうから辞退をするということが考えられます。

そういった「喪家と参列者の双方の手間を惜しむ」という考えが突き詰められているのが現代の葬式事情なのです。
ギフト券は香典の“当日返し”にピッタリ!
現代の葬式事情に照らし合わせると、手間を惜しむことは悪しきことではないと受け入れられるようになってきたことが分かります。では現実として、どういう場面ならばギフト券を香典返しとして贈ることが受け入れられるのでしょうか。
それは香典の当日返しをする場面です。
当日返しとは、広く北海道や関東・東北地方では一般的に受け入れられている慣習で、文字通り『香典返しを当日、香典をいただいたその場で行う』というものです。
当日返しを行うメリットとしては
- 贈答品の配送料がかからない
- 配送に関わる手間もかからない(住所の控えや、配送手続きなど)
があります。これらは現代の葬式事情の背景にも通じるものがあり、事実、香典の当日返しを行う人たちが増えているとも言います。

当日返しにギフト券が相応しい理由
香典の当日返しをするにあたって問題となるのが、香典返しの品が参列者の荷物になることです。これは先に挙げたどんな香典返しの品でも荷物になってしまいますが、ギフト券ならば話は別です。
ギフト券は封筒一枚に収めることができる香典返しなので、参列者のバッグやポーチ、果ては喪服の内ポケットにすらしまうことができます。
参列者の手荷物にならず、スマートな手続きで行事の進行ができる点で優れていると言えます。
さらに、最近では贈答用に装飾を施したギフト券もでています。画像はAmazonのギフト券です。


画像を見てもわかるように、過度な装飾がなく、『金額も明記されていない』ものですので、黒白の水引を添えるだけで香典返しにピッタリです!
このように、一般的にはマナー違反であるとの意見も多い、香典返しとしての商品券・ギフト券ですが、比較的受け入れやすい場面もあります。
はっきりとマナー違反と言われるものではありませんし、貰ったほうの自由度も高いので、喜ばれることと思います。
香典返しにギフト券を贈る場合
香典の当日返しにギフト券を渡すことは、比較的スマートで受け入れられやすいということは分かっていただけたと思います。
では当日返しではなく、香典返しの基本通りギフト券を贈ろうと考えている場合はどうするのか。その場合、贈るときに気を付けなければならないこともあります。
手書きのお礼状を添える
香典返しとして商品券を贈る場合、お礼の品としての意味が薄く受け取られてしまう可能性があります。封筒一枚、ぽんと渡されても味気なく感じるのではないでしょうか。
そういった事態を避けるために、簡単でもいいのでお礼状を添えるとよいでしょう。お礼状の詳しい書き方は同サイトの関連記事を参照ください。

- 敬語を使った弔慰へのお礼文
- 書面でのお礼のお詫びを入れてかしこまる
- 香典返しのお礼の品だというお断り
の三点をおさえておくのが基本のようです。
品物との組み合わせで贈る
「どうしてもギフト券だけでは味気ない」と考えている場合は、先に挙げた具体的な香典返しの品物と組み合わせて贈ることを考えてはいかがでしょう。
そうすれば「不要なものを送りつけてしまったのでは」「商品券を贈るのはマナー違反なのではないか」という双方の香典返しに生じる不安を払しょくしつつ、お礼の品という印象を強くすることができます。

まとめ
ここまで香典返しの品としてギフト券を贈る場合を考えてきました。まとめますと以下の通りになります。
- 香典返しにギフト券を贈るのはアリ。ただし、一般的ではないので贈る場合は考えることもある。
- ギフト券は“当日返し”に渡すのがよい。
- ギフト券を後日贈る場合はお礼状を添える。
- ギフト券は他の品物と組み合わせて贈るのもよい。
いかがでしょうか。香典返しにギフト券を贈るという、新たな選択肢が少しでも身近に感じていただけたのなら幸いです。
注意点もありますが、貰ってうれしいギフト券。相手の幸福を第一に考えるお礼の品物としては、優秀なのかもしれませんね。
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