成年後見人は葬儀の手配ができる?できない?死後事務ってなに?

私たちが生活をするうえで、役所での諸手続きは切り離せないものです。人が産まれたとき、人が亡くなったときもしかりです。

当然、人が亡くなったときは死亡届を提出する必要があります。役所に届出をしないとご遺体の火葬ができませんので、とても大事なことですね。

遺族がご遺体を引き取りたがらない、葬儀の手配をしたがらない、遺族が高齢で手続きが困難、身寄りがないなどの状況であっても、ご遺体をそのまま放置するわけにはいきませんよね。誰かが役所に死亡届を提出する必要があります。

ましてや故人が被後見人だった場合、成年後見人は葬儀に関してどこまで準備ができるのでしょうか。

そこで、成年後見人がどんな業務をしているのか、「死後事務」とは何なのか調べてみました。

 

成年後見人の業務とは?

そもそも成年後見人とは何のためにあるのでしょうか。

成年後見人は、「被後見人本人の代理」として財産を管理したり、被後見人が生活するうえで必要な契約を締結する権限を持ち、被後見人を保護・支援する役割があります。

法定後見人と任意後見人の違い

成年後見人は「法定後見人」と「任意後見人」があります。趣旨としては、本人の財産や権利を保護・支援する部分は同じですが、後見を開始した時点において、以下のような違いがあります。

法定後見人

本人の判断能力が欠けてしまっている場合に、家庭裁判所が中立的な立場の人(弁護士や司法書士など)を後見人として選定した人

任意後見人

本人の判断能力があるときに本人の意思で信頼できる人(親族や友人など)が同意の上で、かつ選任基準を満たしていれば、基本的に誰でも後見人として選定できる人

成年後見人のおもな業務

例えば「セールスで必要のない商品を契約してしまった」などのように、被後見人が誤って締結してしまった契約を取り消すことができます。ただ、成年後見人の業務は法律行為に関するものに限定されているため、介護や身の周りの世話などは対象外とされています。

成年後見人のおもな業務

・預貯金の入出金チェック

・不動産、株などの管理

・税金の申告・納税

・治療、入院などや健康診断受診などの手続き

・施設の入所・退所手続き

・要介護認定や更新手続き

・介護サービス利用の契約

さらに、自分がおこなった業務内容について家庭裁判所に細かく報告する必要があり、大きな責務を負うことになります。

・・・ここまで読んで、なんだか気が遠くなる業務内容だと思いませんか?

税金の申告なんて自分の分をやるだけで精一杯ですし、面倒だという人が多いのではありませんか。このような業務は弁護士や司法書士が向いているような気がしますよね。

調べてみたら「法定後見人」に選定される人は、親族以外の第三者の割合が全体の約7割で、その第三者には司法書士や弁護士などが含まれているそうです。

やはり専門家なら信用もありますし、安心といったところなのかなという印象を受けました。

 

被後見人がなくなったら?

死後事務とは?

通常、成年後見人の権限は被後見人が亡くなった時点で消滅するため、管理計算業務や相続人への相続財産を引き渡す業務のみが残り、亡くなられた被後見人のご遺体を引き取る権限はありませんでした。

しかし、現実は親族間のトラブルなどにより、相続人がご遺体を引き取らないなどの問題もあり、その場合は病院や施設の求めによって、権限をもたないながらも成年後見人が対応することもあったようです。

そうしたことを踏まえて民法873条の2が新設(平成28年10月施行)され、成年後見人が死後事務をおこなう権限が追加されました。

民法873条の2

成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合において、必要があるときは、成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除き、相続人が相続財産を管理することができるに至るまで、次に掲げる行為をすることができる。

ただし、 第3号に掲げる行為をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。

  1. 相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為
  2. 相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る。)の弁済
  3. その死体の火葬 又は 埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為(前2号に掲げる行為を除く。)

<参考> 後見人の死後事務について 法務省HP

死後事務では、故人(被後見人)の「特定の財産の保存に必要な行為」と「弁済期が到来している相続財産の弁済」においては家庭裁判所の許可は不要とされています。

家庭裁判所の許可が必要な業務例>

・故人(被後見人)のご遺体の火葬または埋葬に関する契約の締結(葬儀に関する契約は除く)

・債務を弁済するための本人名義の預貯金の払い戻し

・故人(被後見人)所有にかかわる動産等の寄託契約の締結(トランクルームの利用契約等)

・故人(被後見人)の居室に関する供給契約(電気、ガス、水道)の解約 など

ご遺体の引き取りおよび火葬、故人(被後見人)の生前にかかった医療費や入院費、公共料金の支払いなどは家庭裁判所の許可が必要になるということになりますね。

なお、死後事務をおこなう場合は、以下の要件を満たす必要があります。

「成年後見人が当該事務をおこなう必要があること」

「故人(被後見人)の相続人が財産管理ができる状態に至っていないこと」

「成年後見人が死後事務をおこなうことに相続人の意思に反しない場合」

被後見人が置かれている環境によっては対応しなければならないことがたくさんあり、本当に大変な業務ですね。

成年後見人ができること

被後見人が亡くなられた場所が自宅以外の場合、ご遺体を一時的に安置する「霊安室」がないことがあります。病院など施設によっては霊安室に朝までご遺体を預かってくれることがありますが、大半は長く置いておけません。

そして、ご遺体をそのまま直接火葬場に搬送することは不可となっているため、いったん自宅か葬儀社に搬送したあとに火葬場に向かう必要があります。

このことから、被後見人が亡くなった時間が早朝であろうと深夜であろうと関係なく、寝台車の手配が必要になります。その場合には成年後見人が葬儀社に連絡をし、火葬や埋葬の手配をすることになります。

成年後見人は、民法873条の2の定めにより、被後見人の死後、火葬や埋葬に関する契約締結などの一定の範囲の事務をおこなうことができます

ただ葬儀に関しては、宗派や規模等によってさまざまな形式があることや、施行方法や費用負担などの問題で、事後に成年後見人と相続人のあいだでトラブルが発生するおそれがあるため、葬儀をとりおこなう権限はないとされています。

そのため、火葬のみの「直葬」という形式になります。

手配の流れ

では、ここからは成年後見人が埋葬までの手配をする流れを整理しましょう。成年後見人が届出人になる場合は、まず家庭裁判所の許可を得ないといけません

成年被後見人が届出人で、『民法873条の2 「3.その死体の火葬 又は 埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為」』をする場合は、死亡届の提出や火葬の手配をするにあたって、家庭裁判所の許可を得る必要があります。

・家庭裁判所に許可を取る

病院など被後見人が亡くなられた施設から連絡を受けて被後見人の死亡が確認された場合には、『民法873条の2 「3.その死体の火葬 又は 埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為」』をする必要があため、火葬、埋葬の手配をするにあたって家庭裁判所の許可を取ります

この許可が取れないと死亡届や火葬の手配ができないとされていますが、急ぎの場合は事後報告で処理するケースもあるようです。

・葬儀社に連絡し、寝台車を手配する

病院などの施設ではご遺体を長時間置いておけないため、すぐに葬儀社に連絡、寝台車を手配して、ご遺体を搬送してもらい、安置しておく段取りを進めます。

・死亡診断書(死体検案書)を発行してもらう

病院で亡くなられた場合は、医師が「死亡診断書」を作成します。とくに持病もなく突然亡くなられたり死因が不明の場合は、監察医で検死をおこない「死体検案書」を作成してもらいます。

なお、「死亡診断書」と「死体検案書」は同じ用紙でA3サイズで右側に「死亡診断書(死体検案書)」と記載されています。

・役所に死亡届を提出する

死亡届は、死亡の事実が確認された日から7日以内に届け出ることが義づけられています。

死亡届は「死亡診断書」「死体検案書」と同じ用紙で、左側に記載されていますので、必要事項を記入します。成年後見人が届出人となる場合は「届出印」と「登記事項証明書」を用意する必要があります。

提出先は「故人の死亡地」「故人の本籍地」「届出人の住民票がある役所」のいずれかの戸籍課になります。同時に申請窓口に設置されている「火葬許可申請書」にも必要事項を記入して提します。

なお、書類の提出は代理人でも問題なく、近年は葬儀社が代行することが多くなっているようです。

・火葬場に火葬許可書を提出し、火葬をする

役所に提出した必要書類が受理されると、その場で火葬許可証が発行されます。ご遺体を火葬する際に、この火葬許可証を火葬場の管理事務所に提出します。

火葬が終了すると、火葬執行済」が押印された火葬許可証(=埋葬許可証)が返却されます。これを納骨までに遺骨と保管し、墓地や霊園の管理者に提出します。

死亡届の提出を葬儀社が代行する場合は、火葬後に遺骨の受取の際に埋葬許可証を手渡されることが一般的とされています。

被後見人はいつどんな時に亡くなられるか、誰もわかりませんし、まだまだ元気と思っていても突然亡くなられてしまうこともあります。葬儀社などの段取りを決めていなかったりすると慌ててしまいますので、事前に最悪のことを想定して準備をしておくと良いかもしれませんね。

葬祭扶助制度とは

生前の被後見人との契約のなかで、あらかじめ葬儀社や納骨する場所が決めてある場合は、それにしたがうことも可能かと思います。ただ、相続のことなどもありますので、遺族とのトラブルにならないように慎重に対応する必要があります。

葬儀社によっては、故人を亡くなった日から葬儀後までサポートをおこなっているところもあります。故人や遺族の意向などを踏まえて、葬儀社に依頼する方法もありますので、葬儀社を調べてみるのも良いでしょう。

もし、故人が生活保護受給者で身寄りがない場合は、「葬祭扶助制度」によって直葬にかかる費用をまかなえることになっています。自治体により違いがありますので、確認してみましょう。

葬祭扶助制度

検案、ご遺体の搬送、火葬または埋葬、納骨その他葬祭に必要なものを補助する制度。

<受給条件>

・遺族が生活保護を受けるなど経済的に困窮しており、葬儀費用を負担できない場合

・故人に扶養義務者がおらずい、遺族以外のひとが葬儀を手配する場合

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

・成年後見人は被後見人が故人となった場合は葬儀をとりおこなうことができない

・ただし、家庭裁判所の許可を得れば火葬または埋葬の手配はできる

そして、ご遺体の安置の問題や火葬場の空き状況などもあるため、速やかな事務手続きも重要になります。

成年後見人の業務はそもそも大変なものですが、もしものことを想定してあらかじめどうするかを決めておくと気持ちも少しは楽になるのではないでしょうか。

 

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