
亡くなった方の命日から満1年には、一周忌と呼ばれる法事が行われます。そのころになると案内状も届けられ、忘れかけていた故人の顔も自ずと思い浮かぶでしょう。
一般的にこの一周忌までが喪に服す期間であり、一周忌を境に喪が明けるとされています。遺された近親者も一周忌を明けるとお祝い事を避ける必要がなくなり、こちらとしても年賀状の書き方など気を遣う必要がなくなるので、ほっとしますね。
ちなみに、一周忌と一回忌は混同される時がありますが別物ですので注意してくださいね。


一周忌という1つの節目となる日、参列するならば細かい部分にも気をつかい、失礼が無いようにしたいですね。ですが、一周忌という言葉は知っていても、そのマナーについては意外に知られていません。マナーにうるさい人は多いのに、教えてくれる人は少ないのは、なかなかに困ったことですよね。
地域によって習慣も変わってくる部分もあり、教えてくれる人毎に内容に違いがある事もあります。これでは誰を参考にすれば良いのか分かりません。近年は法事に参列する際は平服(略喪服)が一般的となりましたが、それ以外はどうなのでしょうか。
一周忌に参列する参列者は香典を渡すのがマナーですが、香典にもマナーが存在します。日本人はお金の話題にはナイーブな部分があり、他人に香典の事を尋ねる事も遠慮してしまう雰囲気が感じられます。
どれ位の金額を入れればいいのか、水引の色は、表書きになんと書けばいいのか、「お葬式の時にはこうしたから法事でもそうだと思った!」なんて言っても誰も納得してくれません。ここでしっかり勉強していきましょう。
Contents
葬儀の時に渡したのに、法事にも香典は必要?

一周忌法要で香典やお供え物を持参するかどうかに悩む方も多いでしょう。
結論を書けば、香典とお供え物の、どちらかが必要です。
「自分はお通夜や葬儀の時に香典を渡しているのにまた渡すの?」と疑問を持つ人もいるかもしれません。お葬式の時に香典を渡した人は一周忌では用意しなくてもいいのでしょうか。
素直に言ってしまうと、お葬式を行うにはお金が必要になります。なんだかんだ綺麗事を言ってもお金が無ければお葬式を行うことはできませんね。タダではお葬式は出来ませんが、有難いことに香典というものが存在します。
香典というのは突然の不幸による出費をお互いに助け合うという意味合いがあり、香典があったからこそ葬儀が成り立っていたという背景があります。
法事も同様で、家で行う場合のほかにお寺やホテルで行われることもあります。その上、法要の後には会食をするのが一般的で、必要に応じて仕出し料理の手配や、お店の予約もしなくてはいけません。
そのため、葬儀の時にすでに香典を渡していても、一周忌として法要を行うときにはまた費用が発生することもあり、渡すのがマナーです。
香典袋の水引は何色?

ご香典は一周忌にも必要なことは分かってもらえたと思いますが、ご香典のマナーはお通夜やお葬式の時と何か変わってるのでしょうか。


一周忌では香典ではなく供物料と呼ぶ
仏教にも宗派によって、死後さまよう霊が仏様になるタイミングは異なりますが、一周忌ともなればどの宗派でも故人は成仏して仏様になっています。
このため一周忌では香典のことを、供物料と呼びます。
これはすでに仏様になった故人に対して、霊前(成仏する前)に対して供える金品である「香典」ではなく、仏様へのお供え物の代わりのお金という形で持参するためです。
このため後で見ていくように、袋や表書きも供物料のマナーに合わせて書きます。
水引の色と結び

供物料は不祝儀袋に入れて渡しますが、不祝儀袋の水引は黒白か双銀の結び切りのものを選びましょう。
黒白の色には故人のご不幸を悼み悲しむ意味があり、コンビニやスーパーマーケットの販売されている色もほとんどが黒白で、弔事の水引では定番の色です。
ですが、地域によっては黄白を使用するところもありますので、前もって施主に確認しておくのをおすすめします。




この黄白の水引は主に関西地方で使われるもので、その理由も紅白の水引(赤白とは別)と見間違えるからとのことです。
日本の首都が京都にあった頃の公家社会で一般的だった慣習が由来です。
皇室に贈り物を献上する際にだけ使用される紅白の水引は、黒白の水引と見間違えやすいので、黒の次に黄色が高貴な色とみなされるという理由もあり、この色の組み合わせが存在します。
関西地方では、基本的に仏教関係の葬儀や四十九日法要以降の各法要で使われています。
地域によっては四十九日法要以降に限って使う所もありますので、親戚やご近所の習慣に詳しい方などに前もってお伺いした方が無難です。
さらに、西の中国地方や四国地方などでも黄白を使うこともあるため、これらの地域でも水引の色は確認した方がよいでしょう。
金額に見合った水引を選ぶ

水引は主に黒白か双銀がメジャーなのですが、仮に見栄えの良さで双銀を選んでも、中に入れる金額が安いと失礼にあたります。
香典袋にも水引が印刷されているものから、実際に結ぶものまで様々ですが、中の金額によって使い分けされています。
包む金額が5千円ぐらいまでなら藍銀の水引が印刷されたものを、実際の黒白の水引が付いたものは1万円以上を包むときに用います。
豪華な見栄えとなる双銀は5万円以上の高額を包む際に使用しますので、それぞれの金額に見合った香典袋を選ぶようにしましょう。
宗教や宗派で変わる表書き、香典袋はどう選ぶ?

日本では、贈り物をする際に目録をつける仕来りが昔からありました。時代が進むとその仕来りは簡略化されていき、包みの表に書くようになったものが表書きです。
香典は不祝儀用の熨斗袋である香典袋で包みます。表書きはこの香典袋に記入しますが書き方は宗教や宗派によって異なります。
『君の宗派は。』 pic.twitter.com/E2Wb23TtfB
— 坊主バンド (@vowzband) May 4, 2019
仏様になったあの人に「仏教」

一周忌の香典袋の表書きは、仏式の場合は「御仏前(御佛前)」や「御香料」「御香典」がよく使われます。御仏前が無難な選択とされているようです。
香典袋は、蓮の絵が付いたものがよく使われますが、無地でも構いません。
守り神となったあの人へ「神道」

神道にも一周忌にあたる儀式「一年祭」があり、一周忌と同じように親戚や親しい友人・知人を招いて祭礼を行います。
神道では亡くなった方は最終的にその家の守り神になるとされており、仏式のお香やお線香にあたる玉串や榊を神前に供えて祀ります。
なので、神式の場合の表書きは「玉串料」や「御榊料」「御神前」と書きましょう。
のし袋は、無地のものが無難です。なぜなら蓮の花は仏教の象徴だからです。
水引を使うときは、主に黒白の結び切りを使います。
死は祝福されるべき、私たちはそれを受け入れる「キリスト教」

キリスト教の追悼式の意味合いは、故人を思い出し、故人の死を受け入れ、自分自身にけじめをつけるために行います。
キリスト教で思い浮かぶのはカトリックとプロテスタントがありますが、共通して言えることは、死は全ての終わりではなく、神のもとに帰る入り口だとされている点です。
カトリックの場合は死者記念ミサ、プロテスタントは昇天記念日・記念集会と呼ばれる、仏式の一周忌や神道の一年祭にあたる追悼式があり、どちらも大きな規模で行われます。


キリスト教式の香典袋の表書きは、「御花料」が共通して使われていますが、カトリックの場合は「御ミサ料」、プロテスタントは「献花料」と記入するなど、カトリックとプロテスタントで表書きは異なりますので、注意が必要です。
香典袋には水引は使わず、白無地封か十字架、白百合が印刷された市販の包みを使います。


弔事だからと薄墨はちょっと軽率かも?

香典袋に表書きや名前など文字を書く時には、毛筆や筆ペン、最近だとサインペンも使われるようになりましたが、墨やインクの濃さは意識されていますか。
一般的に香典に薄墨を使うのは通夜や葬儀の際で、「悲しみの涙で墨が薄まった」「突然の訃報で墨を摺る時間がなかった」等の理由によるものです。
その人が亡くなってから1年も経過し、近親者もある程度は故人の死から立ち直っていると思います。
友人や仕事付き合いの人々も、とりたてて悲しみの感情を露わにする必要のない一周忌では通常の濃い墨を使用します。
その一方で、仏事はすべて薄墨を使用する地域もあるようなので、不慣れな地域での法要の際には、念のために施主などに確かめておきましょう。

ちなみに中袋には入れている金額や送り主の住所を記載しますが、書き辛い場合はボールペンや万年筆で記入しても大丈夫です。
まとめ
最期にこれまでのおさらいをしましょう。
- 法事にも香典は持参すること
- 水引の色は基本的に黒白、金額に合わせて相応のものを選択すること
- 表書きや熨斗袋は宗教・宗派でそれぞれ違うので注意すること
- 悲しみが薄まった一周忌、しっかりすった濃い墨を使用すること
弔事は参加する機会が限られており、唐突なことが多いですね。
仏教と親しむ人が減った現在も多くの方が一周忌を営んでいるのは、故人の冥福を祈るという共通の目的を持って親戚や地域の人たちが集まることに、やはり大きな意味があるからです。
あなたの法事・法要への参列の一助となれば幸いです。
【徹底厳選】もう迷わない!!オススメギフト専門サイト
おこころざし.com
香典返しや、法事・法要返しに特化した専門オンラインショップです。カタログギフトをはじめ、仏事の返礼にふさわしいタオル、食品等を多数ラインナップされており選ぶことができます。 おこころざしの三大サービスとして「挨拶状」「のしがけ」「送料」の無料サービスを実施していたり、出産・結婚等と異なり事前に十分に準備できるものではないためお急ぎの方でも、安心して依頼することができます。またマナーコンテンツなども充実しているため、情報だけでも十分に利用できるサイトです。