香典。香典返し。お金を包むこと、あるいはそれへのお返しだというのは分かるし、香典に至っては、なんとなく相場も把握している、という人は結構いるんじゃないでしょうか。
しかし、この香典→香典返しの流れの中、特に「香典返しをするタイミング」に、「お礼状」という存在があることはご存知でしょうか。
あるいはそのお礼状に何を書くべきなのか、ご存知でしょうか。
香典を送ることも、香典返しをすることも、もちろんそう頻繁に起こってほしいものではありませんが、こうした際のマナーを知っておくと、ちょっと安心しますよね。
そこで、今回はちょっと知名度が低いかもしれない、「香典返しの際のお礼状」について、「そもそも何者なのか」「書くのに必要なものは何か」「文面は相手などによって変わってくるのか」といったことをお話していきます。
Contents
香典返しとは何か
「返し」と付くところからもお察しの通り、「香典返し」は「香典」に対するお返しです。
では、お返しをする対象である「香典」とはそもそも何なのか、という所から、順を追って説明することにしましょう。
香典(こうでん。香奠とも表記)とは、仏式等の葬儀で、死者の霊前等に供える金品をいう。香料ともいう。
(引用:Wikipedia)
香典は基本的に仏式のお葬式で必要になるものですが、神式やキリスト教系のお葬式でも、参列者が遺族に対して、現金をはじめとした品物を用意することがあります。
香典返しとは、こうした品物、すなわち香典に対するお礼として、遺族が参列者におくるものです。たとえばどんなものがあるかというと、こんな風に言うことができます。
香典返しの金額は、香典の3割から5割であることが多い。一律に同じ物を贈ることもあれば、香典の額に応じて変えることもある。香典返しの品は、食品や消耗品が多いが、茶・菓子・のり・砂糖・タオル・寝具・せっけん・食器など様々である。
(引用:Wikipedia)

また、香典返しを送る時期は、お葬式を行なった際の宗教によって異なります。仏教・神道・キリスト教の3パターンが主になると思いますので、下にまとめてみました。
- 仏教:四十九日法要のあと
- 神道:五十日祭のあと
- キリスト教:死後一カ月の昇天記念日のあと
香典は、キリスト教のお葬式では、「御香典」として送るのではなく、「御花料」として送るのが無難とされているようです。ただ、これに対してお返しをするときも、「香典返し」と呼ぶのは構わないようですね。
ちょっとずらっとただ話してきてしまいましたが、なんとなく掴めたでしょうか。「香典返し」というものの基本的な意味は、こんな感じです。では、次からもう少し細かいところを見ていくことにしましょう。「香典返し」と一緒に送る「お礼状」についてです。
香典返しにおける「お礼状」の存在意義




レミがなかなか辛辣なことを言っていますが、ともあれ次の話に進みましょう。
香典返しにはすでに述べたように、お礼状を付けます。では、なぜつけるのでしょうか。
四十九日法要の儀式がきっちり終わったことを報告するため
香典返しは、葬儀の参列者に対し、四十九日法要が終わった頃におくるものです。けっこう期間が空きますよね。香典返しにつけるお礼状には、それまでの儀式が滞りなく終わったことを報告する役割があります。
友達や親戚など葬儀に参列してくれた感謝を示すため
報告の意味があると書きましたが、これは「お礼状」ですから、感謝の意味が籠っています。何に対する感謝かと言えば、葬儀に参列してくれた、故人を悼んでくれたことに対する感謝です。香典というかたちで、葬儀をする遺族を気遣ってくれたことへの感謝も含んでいます。
こうした報告やお礼は、本来直接伝えた方がいいのですが、香典をくださった全ての参列者に挨拶に行くのは、とても大変ですよね。
だから、少し楽な形ではありますが、香典返しにお礼状をくっつけて、直接挨拶に行く代わりにするのです。次に書き方と必要なものについて述べていきます。
お礼状をいざ書くとしたら、どう書くのか?
お礼状を書くときに用意するもの
用意するのは、以下の3つです。
- 和紙か、縦書きの便せん
- 奉書封筒(「奉書紙」という和紙を使った封筒)
- 薄墨か黒のインクを使った筆記用具
お礼状は横書きで書く
現在は、横書きでのお礼状を書くこともないわけではないそうですが、基本的にお礼状は縦書きで書くことが多いです。せっかくお礼の気持ちで書いているのを失礼に取られてしまったら、送った方も送られた方も悲しい思いをしてしまいますから、無難にいきましょう。 ちょっとうっかり軽口を叩いてしまいましたが、レミの言う通りです。四十九日の法要が終わった、ということは、「忌が明けた」ということになります。忌中は薄墨で書いていたものも、忌明けには黒(濃墨)で書けるようになります。 とはいえ、地域によっては薄墨で書く慣習のところもありますし、弔事に関する書き物は基本的に薄墨で作る、という意識も強くあるようですから、確認してみるといいでしょう。このお礼状は、別名「忌明けのお礼状」とも呼ぶそうですから、黒インクで書くことができる場合は、見た目にもわかりやすく「忌明けである」ということを伝えることができますね。 文章は基本的に縦書き、とすでに言いましたが、実はもう少し細かいルールがあります。枠で囲ってまとめると、こんなふうになります。 ①縦書きで書き、句読点は使わない お礼状は、基本的に句読点を使いません。句読点を打つ場所は、一文字分の空白をあけます。こんな書き方をする理由には諸説あるようですが、ひとまずは「そうなんだな」と思ってくだされば大丈夫です。 ②忌み言葉を使わない ますます、たびたびなどの「重ね言葉」や、「死」をストレートに表現したり、連想させる言葉はアウトです。使わないようにしましょう。 ③お礼の言葉は1枚に収める 忌み言葉で出てきた「重ね言葉」にも通じるのですが、人の死など、よくないことに関するものが「重なる」ことを嫌うため、お礼状は1枚に収まるように作るのがオススメです。 では、実際に書くとしたら、どんな文を書けばいいのでしょうか。 香典返しにつけるお礼状は、仏式や神式のものと、それ以外のもの(無宗教のもの)に分けられるようです。簡単に言えば、仏式や神式の方が文体がかたいフォーマル系、それ以外の方が文体がやわらかめのカジュアル系です。 以下に例文の引用を示しましたが、実際に使う時には縦書きに直して使ってくださいね。 拝啓 (引用:即日印刷プリントメイト ※文字色変えは記事作成者による) 仏式で戒名を入れる場合は、このようになります。入れずに済ます場合もありますが、より状況を丁寧に伝えることができるかと思います。 謹啓 ご尊家ご一同様ますますご清祥のことと拝察申し上げます (引用:即日印刷プリントメイト ※文字色変えは記事作成者による) こちらは神式のものです。神式の場合は忌が明けるのが五十日祭のあとですから、四十九日の法要と一緒にしてしまわないようにしましょう。 キリスト教式のものも、神式のものとよく似ています。五十日祭が「記念祭」などに変わる程度ですので、割愛します。 拝啓 平成〇年〇月〇日 (引用:香典返し e-shop) こちらは無宗教のものですが、だからこそ仏式にも神式にも、キリスト教式にも使えると思います。ただし、行った儀式がきっちり仏式だったり神式だったりした場合、お礼状からやや軽い印象を相手に与えてしまうかもしれません。行った葬式などの一連の儀式がどんな雰囲気のものだったかも参考にしながら、文面を考えておくといいと思います。 先にも述べたように、こうした無宗教の形式のお礼状は、汎用性の高さから、カジュアルの度合いが高いです。親しい関係の人に対しては、無宗教の文面の方が、堅苦しくなくていいのではないでしょうか。 こういった手続きが難しい、考えるのが大変と感じる場合は、香典返しの専門サイトを頼るのも一つの手段です。 香典返しの専門店「おこころざし.com」は香典典返しに利用する「挨拶状、のし、包装紙」を無料作成してくれるサービスを行ってくれます。自分で準備するよりも格段に負担が減るので、知識が疎い場合はこういった専門サイトの利用をおすすめします。 そんなわけで、次は「知人・友人や親戚など、相手によってお礼状の文体は変えるべきか」についてお話します。 結論から言えば、「失礼に当たらないのであれば、別に変える必要はない」です。 自分の行った葬式の宗教を的確に把握して、手紙を書く際の基本的なマナー(「拝啓-敬具」の呼応や時候の挨拶、日付の記入など)ができていれば、あまり内容に対してピリピリ緊張する必要はありません。あんまりピリピリしても、葬儀からずっと疲れているところにダメージを食らってしまいますから、神経質になり過ぎないようにしましょう。 気楽に、目上に対してはフォーマル系の文、同世代や目下に対してはカジュアル系の文、という使い分けをすれば大丈夫です。 やや話が逸れましたが、ここまでをもう一度まとめ直してみましょう。 こんな感じです。大分つかめて来たでしょうか。それでは、最後に今まで話してきたことをざっとまとめて、香典返しのお礼状について把握してしまいましょう。 まず、香典返しにはお礼状がつきものだ、ということをポイントとして掴んでおきましょう。 このお礼状を書くにあたって必要なものは3つありました。 はがきも使えないことはありませんが、略式になってしまいますし、品物と一緒に送るならば、封筒でくっつけていた方が見栄えも良いと思います。 また、お礼状の形式は、仏式や神式など「宗教がわかるもの」と、「無宗教のもの」に分けられることも話しましたね。こういった形式の違いは、お礼状を送る相手によって、こんな風に使い分けることができます。 「目上だけれど友人だから、カジュアル系の文面で送ってもいいの?」という疑問については、「失礼に当たらないと考えるなら別に構わないけれど、基本的に目上に対してはフォーマル系の文面が無難」とお答えできます。 香典返しのお礼状って、あんまり頻繁に書くものではありませんよね。だから慣れているとも言い難いですし、さらにこのお礼状に使うものは、わりと日常生活では使わないものが多いです。奉書封筒なんて、日常生活で使う人はあまりいません。 しかし、結局のところお礼状は「お礼の気持ちを伝える手紙・カード」です。手紙のマナーを守りつつ、感謝の気持ちをしっかり籠めることができていれば、そんなに怖がるようなものではありません。貰ったものに対しての気持を、素直に文章にこめてみてください。きっと素敵な文章になると思いますよ。 この記事を読んでくださったあなたは、きっとここまで葬儀などを済ませて、気を張って頑張って来られたのだと思います。本当にお疲れさまです。 このお礼状の紹介が、あなたにとって役立つものでありますように。そしてあなたが、どうか肩の力を抜いて、優しい気持ちで紙の前に向かえますように。 【徹底厳選】もう迷わない!!オススメギフト専門サイトお礼状のインクは黒でも薄墨でもどちらでも正解
文章の基本ルール
お礼状の例文
仏式のお礼状の例文
先般 亡父 ○○ 永眠の際はご丁重なご弔辞ならびに過分なご芳志を賜りまして厚くお礼申し上げます
お陰様をもちまして このほど
○○院○○居士
四十九日の法要も滞りなく相済ませました
つきましては 供養のしるしに心ばかりの品をお送りいたしましたので
ご受納くださいますようお願い申し上げます
まずは略儀ながら書面をもちまして謹んでご挨拶申し上げます
敬具
令和○年○月
〒000-0000
東京都豊島区池袋2-37-1
喪主 山田太郎
親戚一同神式のお礼状の例文
過日 父○○○○儀 帰幽の節はご懇篤なるご弔慰を賜り
また格別のご芳志に預かりまことに有難く厚く御礼申し上げます
お陰をもちまして五十日祭も滞りなく相済ませました
偲草の印として粗品をお届け申し上げましたのでご受納くださいますようお願い申し上げます
略儀ながら書中をもって謹んで御挨拶申し上げます
謹白
令和○年○月
〒000-0000
東京都豊島区池袋2-37-1
山田花子それ以外のお礼状の例文
先般 田中一郎 永眠に際しましては多くのお気遣いと お香典をたまわり 誠にありがとうございました
生前 故人が皆様にどれだけ支えられていたかと感謝にたえない思いです
親しくかかわっていただいた皆様にお見送りいただき故人もさぞ喜んでいることとでしょう
つきましては 供養のしるしとして 心ばかりの品をお届けいたします
今後ともなにとぞ よろしくお願い申し上げます
書く相手によってお礼状の書き方は変わるのか
まとめ
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