日本は細長く東西南北に伸びる島国であり、様々な習慣やマナーがあります。そして、葬儀に関しても、古くからの慣習が受け継がれてきた文化があり、地域によって少しずつ形が異なります。
近いようで遠い関東と関西。今や発達したメディア、物流、交通により、言葉以外は何でも同じと思いがちですが、関東の人から見ると驚く習慣も残っています。関東では常識であるマナーでも、関西では非常識であることがあります。文化の違いを理解していないせいで失礼に繋がる可能性があります。
今回は関西の香典返しのルールやマナーについて説明します。葬儀の際にお世話になった方々への感謝の気持ちを伝えられるようにしっかりとポイントを押さえておきましょう。




関西の葬儀における独特な習慣や、香典返しのマナーとは一体どのようなものなのでしょうか。
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関西の香典返しのマナー

香典返しの金額は香典の1/3でもOK
一般的に、関東では香典返しは「半返し」です。頂いた香典の半額程度を目安に品物と挨拶状を添えてお返しするのが基本です。
一方、関西では香典返しは「3分の1」が相場でした。
ところが、日本の「常識」は、首都があり人口も多い関東が作ることが多い昨今です。交通が発達した現代では、いろいろな出身地の参列者が訪れることもあり、現在では「香典返しは半返し」という「常識」が関西にも浸透してきています。
しかし未だ、関西では「きっちり半返し」というよりも、「3分の1程度のお返し」という風潮が残っているもの事実です。
また、関東でも関西でも、高額な香典返しを頂いた時は、即日返しで他の参列者と同じ一律の香典返しを渡した際は、後日忌明け後に上乗せ分の香典返しを挨拶状と共に送る習慣は同じです。
香典返しの表書きと贈る時期
香典返しには、のし紙を掛け、そこに表書きを書いて贈るのがマナーです。
関西では、表書きに「満中陰志」と書くことが一般的です。
「満中陰志」は、忌明けの法要を無事に済ませた報告と共に、お悔やみを頂いた事への感謝の気持ちを表して贈る品物、香典返しに使用します。忌明けから1か月程度を目安に、香典を頂いた方々へ「満中陰志」と表書きをした香典返しを配っていくことが関西のマナーです。
一方、関東では、表書きにお香典のお礼という事で「志」と書くことが一般的です。「志」は、地域や宗教を問わず、表書きで広く用いられている言葉なので便利です。自分の地域ではなにを書くか迷った時は「志」と書くと無難です。
「満中陰志」がNGな香典返しの時期
「満中陰志」は「無事に忌明けを迎えることができました」という報告を兼ねて行うものです。そのため、「満中陰志」を送る時期は基本的には四十九日法要を終えた忌明け後というのが一般的です。
ところが、近年では葬儀当日に満中陰志を渡すことも増えています。これは遠方からの参列者一人ひとりに送付する手間や費用を省くためです。
しかし正式には「中陰」が満ちていない時期にお返しをする場合は表書きを「満中陰志」とするのは正しくありません。このような場合は、どのタイミングのお返しでも使える「志」を使用した方がいいでしょう。
香典返しの水引の色
香典返しに限らず、贈答品を贈る際は、品物にのし紙をし、その上に水引を掛けます。この水引は、用途や地域、宗教によって結び方や色が異なります。
弔事の際には、関東では黒白の水引を使用するのが一般的です。黒白の水引は、全国的にも広く用いられています。
一方関西では、最近は黒白も増えてきましたが、昔から黄白の水引を使用するのが一般的です。
関西の葬儀に関する独特な習慣

通夜料理は親族だけ
関東では、遺族が親族だけでなく参列者全員に通夜料理を用意し、寿司や煮物などをふるまいます。これを「通夜ぶるまい」と呼びます。参列者は通夜ぶるまいの席に着き、故人をしのびながら食事に箸をつけ、飲み物で口を湿らせてから帰ります。
一方、関西では、昔からこの通夜ぶるまいの習慣がありません。通夜の後は、親族など近親者のみで食事の席を設けます。
関西 : 親戚のみに用意する
親族以外からは香典を辞退!?
関東では、喪主側はほぼ100%香典を受け取りますが、関西では、親戚からは頂き、一般の方からの香典は辞退することがあります。
これは「香典返しが手間だから省きたい」という近代的な考えに基づいて生まれた習慣ではなく、関西の古くからの葬儀文化が影響し生まれた習慣です。
関西に香典辞退の習慣が生まれたのは、前述したように、昔から会葬者全員に「通夜ぶるまい」をしなかったということが関係しています。
関東では、親族だけでなく会葬者全員にも料理を振る舞うことから、その分の費用と対価としても喪主側は香典を受け取ります。
一方、関西では「通夜ぶるまい」がなく、一般会葬者はお経が終わり、お線香をあげると帰ります。その為、「お香典はいりません」と、関西では親族以外から香典を受け取らない習慣が広まったのです。
加えて、最近では「香典返しの手間を省く」という新しい意味も加わり、関西の都市部を中心に、香典辞退が増えているそうです。古くからの文化に、関西人らしい合理的な発想が加わり、香典辞退につながっています。
しかし、香典辞退の背景を知っていても、実際に「香典辞退」の葬儀に直面すると、やはり戸惑うところがありますよね。せっかく用意した香典を、本当に持って帰っても良いものなのかと迷う人も多いようです。
でも、これは故人や喪主側の意志によって決められていることなので、その気持ちを尊重し、本当に香典は渡さずに帰っても良いです。
また、喪主側も、親族以外の方々に、事前に香典を辞退するということを連絡しておいたり、お葬式会場の受付に「香典辞退」の旨を伝える看板を出しておくと親切です。看板は、依頼をすれば葬儀社のほうで手配してくれることが多いです。
まとめ
近いようで遠い関東と関西。現代の発達したメディアや交通により、独自色が薄くなり「常識」として一律化されてきていることも多いですが、今だ残る習慣もありました。
- 通夜料理は親族だけ
- 親族以外からは香典辞退もよくある
- 香典返しの金額は香典の「3分の1」でもOK
- 香典返しの時期は忌明けから一か月程度
- 香典返しの表書きは「満中陰志」
- 香典返しの水引の色は黄白




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