日々の暮らしの中で、気を配りたいことの1つに冠婚葬祭があります。特にお葬式に関しては、ある日突然のことも多く慌ててしまったりも。礼儀作法の心得が必要になる機会でもあるので、やはり気をつけたいものです。
また最近では地球温暖化による猛暑の心配もあり、「夏の喪服、どうしよう。」「喪服も涼しくしたいけど、どこまでが許容範囲なのか。」という方もいるはずです。
そこで今回は、どんな時でも慌てず対応できるように、夏の喪服の基本を確認していきたいと思います。
Contents
喪服のイロハ
喪服の「喪」には、「故人を追悼する礼」という意味があります。日本の歴史を紐解いてみると、喪服は既に700年代の「日本書紀」に登場していました。しかも死者を悼む行為や儀式に関しては、なんと今から5~6万年前頃のネアンデルタール人の時代からあったとも言われています。ほぼ人類の頃から、人々は故人を悼み、弔いの儀式は特別だったのですね。
その故人を悼むための装い=喪服にも、フォーマルマナーというものが存在します。そう、ある一定の規定があるのです。それではまずその喪服のマナーのポイントを押さえていきましょう。
喪服の基本
- 濃い黒の生地を使用した弔事用の礼服を選ぶこと
- 飾りや模様、光沢がないこと
- 体のラインが出ず、肌の露出も極少であること
喪服というのは黒い礼服=ブラックフォーマルの1つです。つまり礼服というのは冠婚葬祭の装い全体を指しているので、ブラックフォーマルだからといって、黒ければどれを選んでも良いということではないのです。おめでたいシーンでのブラックフォーマルとは、きちんと区別するようにしましょう。
女性の半袖はアリかナシか


それでは次に女性の服装についてです。結論から先に言うと、女性が半袖を着用するのはNGです。
基本的には男性と同様、全身黒のコーディネートです。しかし女性用の喪服には「正喪服」「準喪服」「略喪服」という種類があり、漢字の雰囲気からもわかると思いますが、ランクが「正」→「準」→「略」の順に下がっていきます。ただ現在では、「準喪服」にあたるアンサンブルやワンピースで、全てクリアできるので、以下ではそちらを見ていきたいと思います。
女性の喪服の基本
- 「準喪服」のアンサンブル、もしくはワンピース
- 肌の露出は極限にカット=半袖はNG
- ストッキングとパンプス着用
服装の注意点
その1 アンサンブルとワンピース
フランス語で「一緒に」という意味のアンサンブル。喪服でいうと、素材や色調の調和がとれているスカートと上着が一緒になったセットタイプです。見た目のしっかり感もあるのでオススメです。ワンピースは、一枚でスルッと着ることができるので、夏には涼し気で良いかもしれません。
ところで「お葬式には、本当にアンサンブルやワンピースだけなのだろうか。」「パンツスーツはどうだろう。」という方もいると思います。パンツスーツは決してマナーに反するわけではないのですが、こちらは「略喪服」にあたるため、理由がない限りお葬式の参列の際には、避けるのが無難かもしれません。もしも着用するのではあれば、男性同様ビジネス用は避け、弔事用に則ったものを選びましょう。
悩んだ場合には、女性用喪服に「オールシーズンタイプ」という優れものがあるので、そちらを1着用意していれば安心ですね。
その2 露出は極限に避けること
これはとても大切です。アンサンブルもワンピースも半袖はNGです。ただ上着を羽織れば、男性同様中は半袖でも構いません。ワンピースには半袖も多く見られますが、基本的には袖は長い方が格式が上がります。ワンピースの半袖を選んだ際には、それに調和したボレロなどの上着を着用することをオススメします。
皆さんは、世界中でノースリーブやミニスカートなど露出の多い装いのために、観光中の女性が教会や寺院内へ入ることを拒否された、というお話を聞いたことはありませんか。神聖な場所では、肌の露出は基本的に禁止されています。極端な例かもしれませんが、こういった神聖な場所や、改まった場では露出を避けた方が良いことがわかりますね。
その3 足元もブラックコーディネート
同じ理由から、スカートの丈は膝下が好ましく、それプラス黒いストッキングを着用するようにしましょう。もうご想像がつくかもしれませんが、もちろん模様無し光沢無しのシンプルなものです。素足は、肌そのものなので避けましょう。
靴もオープントゥタイプの靴やサンダルではなく、夏に蒸れそうではありますがパンプスで。重複になりますが、飾りや模様、光沢のないシンプルな黒を選ぶこと。歩きやすい場所ばかりではないので、ヒールも太めで3~5cm位の高さであれば、ドレスコード的にも機能的にもちょうど良いかと思います。
暑さ対策は「ゆったりめのサイズを選ぶ」こと
普段の洋服でも体にピッタリしたデザインより、大きめの方が涼しく感じますよね。喪服もこの「少しゆったりめ戦法」を採用するのが良いかと思います。ひと回り大きいサイズを目処に選べば、体のラインが出ないだけでなく、風の通りもよくなり、肌が直接布に触れず快適に過ごせることと思います。(そして体型が多少変わったとしても、着ることができるという利点も。)
また「夏の上着は暑くて着るのが嫌だな。」と思われるかもしれません。しかし夏は冷房のによる室内外の気温の差というのが体調を崩す原因の1つとなり得ます。この上着の着用は、多少なりともその対処法になるのではないでしょうか。室内では上着をしっかり着て冷房対策をし、外では上着を脱ぐようにすれば、衝撃は少し薄れるはずです。恐らく会場の方でも、冷房の温度には配慮していると思いますが、外が暑ければ暑いほど気をつけたいところですね。
男性の喪服のクールビズ適用、アリかナシか

夏に会社で適用されているクールビズですが、ノージャケットにノーネクタイという装いは、お葬式ではNGです。ただ猛暑は健康を害することもありますので、できる限りの対策をしたいものです。
では対策を練る前に、男性の喪服の基本を知っておきましょう。
男性の喪服の基本
- 必ず喪服を着用
- ジャケットとネクタイは必須
- シャツは無地の白
- 黒い靴下と革
服装の注意点:
その1 ビジネス用スーツはNG
いつも着慣れているビジネス用のブラックスーツも、「黒だから大丈夫かな。」と思われるかもしれませんが、よ~く見てみると、違いがわかります。まずは黒の濃さが違うのです。そして前述しましたが、喪服には艶や光沢は無しのものが鉄則です。平安貴族は、より濃い黒を身にまとうことによって悲しみの深さを表していたともありますし、深い黒色は重要な点です。
それから日常と、お葬式という特別な意味を持つ日を区別することも、大切なことではないでしょうか。かつては1回のお葬式ごとに、喪服は捨てていたということから考えると、それだけお葬式は意味が大きいものなのです。必ず喪服を着ましょう。
その2 ジャケットとネクタイの着用
会社内でのクールビズ期間中は、ジャケットもネクタイも無しでokですが、お葬式には両方必須です。
ジャケットの腕まくりも、肌の露出にあたるのでNGです。
ネクタイも弔事用の黒いものを選び、緩めずにしっかりしめましょう。またネクタイピンは光るものなので、基本はつけない方が良いと思います。
その3 靴&靴下
まず夏だからといって、素足は避け必ず靴下を履くこと。靴下は必ず無地の黒を選びましょう。白だけではなく黒に近い紺やグレーもNG。足元だからと油断していると、黒以外の色は、結構目立ってしまうものなのです。
長さは、何が起きてもズボンの裾から肌が見えないものが好ましいです。形も五本指タイプは、足の指の間がサラサラになり夏には心地よいのですが、フォーマルな場には相応しくないので、通常の靴下で。
靴は革靴で大丈夫ですが、ビジネスシーンで使用する靴は避け、弔事用の靴を必ず選びましょう。そして色は黒。
ひたすら黒を極めていくのです。
暑さ対策は「季節に合った喪服選び」から
パッと見た感じではわからないかもしれませんが、喪服にも春秋冬の3シーズン用と夏用の2種類があります。3シーズン用は寒さ対応の生地と構造をしているので、夏には適していません。更に裏地が背中全面についているので、夏の炎天下の中ではサウナ効果まで。
そこで購入の際には、しっかり夏用であることを確認しましょう。
ジャケットは自宅から会場までずっと着用しなければならない訳ではなく、会場でしっかりと身に付けるということに気をつければ、移動の時などは脱いでいてもマナーに反することはありません。着脱を調整して、暑さを凌ぎましょう。
シャツは模様のない無地の白が基本ですが、ジャケットを着ているので半袖であっても大丈夫です。素材も通気性のよいもの、汗を吸収し尚且つ速乾性の素材だと、過ごし易くなることと思います。
ネクタイは夏用の沙織り(しゃおり)という薄くて軽いものがありますので、夏のフォーマルには最適でしょう。
お葬式中には、クールビズのように軽装になって暑さを凌ぐことができません。そのかわり夏用の喪服を着ることで、暑さ対策をすることはできます。どんな季節のお葬式でも慌てることのないように、男性の皆さんにはその季節に合った2種類の喪服の用意をオススメします。
まとめ
喪服にはフォーマルマナーがあります。
- 濃い黒の生地を使用した弔事用の礼服を選ぶこと
- 飾りや模様、光沢がないこと
- 体のラインが出ず、肌の露出も極少であること=男女ともに半袖NG
夏でもそれは変わりません。そこで暑さ対策が必要になってきます。
男性は季節に合った喪服を選び、女性はゆったりサイズを選ぶことで、シンプルな暑さ凌ぎができることと思います。
礼儀というのは、相手に敬意を払うことでもあります。フォーマルマナーを守り、故人だけでなく遺族の方にも敬意を払い、心穏やかにお見送りができるとよいですね。
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