

さて今、「無宗教葬」と聞いて、ピンときた方は挙手願います。
この言葉からイメージがわくという方は、恐らく少ないのではないでしょうか。「宗教」という言葉自体、日本の生活の中では、学校の社会で習う時がほぼ初対面というケースが多いはず。そして更には「無宗教」というボキャブラリーが出てきて、葬儀とコラボ。う~ん、何かイメージできますか。
というわけで今回は、そんな無宗教葬の色んな謎に迫っていこうと思っています。
「無宗教葬って、一体何だろう」と興味のある方、または「いざ出席の際に、どんな服装にするべきか」と不安のある方は必見です。
Contents
無宗教葬って何?謎に迫る
「無宗教葬」というのは、実は葬儀の形式が「宗教的ではない=無宗教」ということなんです。
日本で葬儀と聞くと、隣組の方々がお手伝いに来てくれて、ちょっと猫好きなお坊さんが式を執り行っていく、というイメージがあるかと思います。
しかしこの無宗教葬というのは、仏教だけではなく特定の宗教や宗派の形式をとらずに、遺族や葬儀社のプロデュースするプログラムに則って行う葬儀なのです。決して故人が無宗教だったから、ということでもないのですね。
2019年に発表した葬儀社のアーバンフューネス(現むすびす)の調査報告で、10年間の内に無宗教葬が2倍に増えたことがわかりました。これは東京都に本社を構えるアーバンフューネス社が、取り扱った16、000件以上の葬儀を対象に行ったので、この現象自体は主に首都圏で起こっていることだとは思いますが、生活スタイルや人間関係の変化によって、全国に広がっていくかもしれませんね。
まだ依然として仏教式の葬儀が大半を占めているのが現状ですが、少しずつ数を増やしているこの無宗教葬とは、一体どういったものなのでしょうか。
自分らしさを演出できる無宗教葬
この無宗教葬は、別名「自由葬」。
なぜ自由葬と呼ばれるのか。その理由はこの葬儀の特徴にあります。無宗教葬には、主に3つのタイプ「音楽葬系」「家葬系」「お別れ会系」があります。
タイプ1 音楽葬系でお見送り
音楽葬とは、葬儀場にて音楽と共に追悼をする形式です。音楽のジャンルは基本的に自由で、故人や遺族の嗜好によって選択できます。音楽はCDを使用する場合もあれば、プロの演奏家やバンド、更には故人の演奏録音を再生することもできます。
また故人がカラオケ好きだった場合、親しい人の歌でお別れをするカラオケ葬というのもあります。いわゆる葬儀とは、全然雰囲気が違いますね。きっと賑やかな葬儀となって、音楽好きの方にはよいのではないでしょうか。
この他にも葬儀社によっては、故人の思いでの写真や動画を大画面で流す「スクリーン葬」や、故人が生前に収集した趣味のものや、作品を展示して故人を偲ぶ「個展葬」という葬儀を執り行うことができます。いずれにしても故人との思い出を、一番かみしめやすい形式である気がします。
タイプ2 家葬系でお見送り
この形式には自宅のお庭で行う「ガーデン葬」と、一軒家を貸し切りで行う「一軒家葬」があります。
ガーデン葬は、自宅のお庭に祭壇を設けて、親しい方々に見守られながら行う葬儀です。生前ガーデニングが好きで、大切に育てた植物に囲まれてお別れをしたいという方には、心温まる式ができるのではないでしょうか。
一軒家葬は、一軒家を貸し切りにした上で、身近な方を呼んで行う葬儀です。マンション暮らしだったり、持ち家はあるが自宅ではちょっと葬儀はできない。でも「自宅で葬儀」という雰囲気を大切にしたい方にオススメですね。
タイプ3 お別れ会系でお見送り
お別れ会は、偲ぶ会とも呼ばれます。特徴としては、まず火葬だけ行ったり、家族のみの小さな葬儀を行った後に日を改め、参列者の出席の下執り行います。こちらはご遺体の安置がないため、会場の選択肢が広がります。主にホテルを会場にすることが多く、会食形式のこともあります。
無宗教葬で気をつけたいこと
無宗教葬は、自由にプロデュースでき自分らしい演出ができることが魅力です。しかしメリットだけではなく、デメリットがあることも忘れずに。
- 宗教的な形式にとらわれずに、「自分らしい」葬儀ができる。
- 費用を抑えられる。
- 会場の選択肢が増える。
- 参列者も故人への追悼に集中できる。
まずは故人や遺族が思い思いの葬儀をあげられるというのが、大きなメリットでしょう。この葬儀であれば、自由度の高い分だけ式としてはシンプルな感覚ででき、遺族や参列者が故人を偲ぶことに集中できるので、思い出に残るよい葬儀になることと思います。
また葬儀だけではなく、その後の法要など宗教形式の葬儀に関連した費用がかからないので、コストを抑えられるというのも、大きな利点の1つでしょう。
- 納骨の問題が出てくる。
- 家族や親族とのトラブルが起こる可能性がある。
- シナリオをしっかり練らないと、式がグダグダになる。
- 慣れない参列者が戸惑ってしまう。
納骨の問題には、特に気をつけたいところです。そもそも仏教式葬儀は、仏教のお導きで故人をお見送りしてから~の、菩提寺でお骨を供養という流れがあり、そこにはハッキリとした意味があるのです。お坊さんは、単なる葬儀の進行役やお墓の管理者ではないので、充分な配慮が必要です。
また菩提寺のある方は、葬儀や納骨は故人のみの問題ではなくなるので、家族や親族の意見をきちんと確認しましょう。
式の内容と進行も、しっかり葬儀社と相談した上でシナリオを決め、慣れない参列者にも細かい案内をしなければなりません。念入りな打ち合わせには、時間がかかるかもしれませんね。
以上から無宗教葬は、葬儀から納骨まで自由に行っても問題のない方向けと言えます。まずは各方面に相談、合意を得た上で執り行うようにした方が良いでしょう。


参列するための服装とは

自由度の高い無宗教葬。では服装に関してはどうなのかというと、慣れていない方が路頭に迷わないように、遺族の方から必ず細かい指示があるかと思います。大体の場合「喪服でお越しください」若しくは「平服お越しください」という、一言が添えられているはずです。
「喪服でお越しください」と案内があったら
「いつもの喪服でいいのか」と、一瞬戸惑うかもしれませんが、はい、それでよいのです。
喪服自体は、故人を追悼する気持ちを表す礼服の1つです。今まで仏教式の葬儀で着用していたので、喪服=仏教のようなイメージが出来上がってしまっているかもしれませんが、そんなことはないですよ。
喪服は黒い礼服=ブラックフォーマルの1つで、「正喪服」「準喪服」「略喪服」の3種類があります。正→準→略の順で、格が下がっていきます。この中で、いわゆる喪服と言われているのが、「準喪服」です。喪服はフォーマルマナーが厳しいので、気を配りたいところですね。
- 濃い黒色の生地使用。
- 光沢、模様や華美な飾りはNG。
- 体のラインや露出の多いのはNG。
女性も男性も原則は同じです。では少し具体的に見ていきましょう。
- 女性の喪服の基本
喪服は体のラインを出さないために、少しゆったり目のワンピースかアンサンブルがよいでしょう。袖の丈はなるべく腕が見えない七分丈以上。またスカート丈も膝下で。
足元は模様のない黒のストッキングを着用。靴もオープントゥタイプやサンダルではなく、3~5cmの太めのヒールがピシッとしていてオススメです。
喪服着用を求められる際は、フォーマルマナーに則って露出は避けましょう。
またネックレスに関してですが、主流なのは真珠ですね。真珠が喪服用のアクセサリーとして着用されているのには理由があります。真珠の別名は「月のしずく」や「人魚の涙」など、涙を連想させるものばかりなので、葬儀の時に身につけるものとしては適任だと思います。
また歴史的に見てみると、白い真珠はイギリスのチャーチル元首相の国葬に参列したエリザベス女王が身につけていた、ということで注目されました。これによっても葬儀には真珠というイメージが定着したのではないでしょうか。
真珠にもマナーがあり、長さは40~42cmの白い一連ものを選んでください。ネックレスもアクセサリーというより、喪服の1部だという感覚で。
- 男性の喪服の基本
男性はブラックスーツを着用してください。この時、ビジネス用は避け必ず喪服を着用しましょう。喪服とビジネススーツの黒の質や素材が全く違うので、サクッとバレちゃいますからね。
スーツの下には白い無地のシャツに、黒いネクタイです。タイピンはキラキラしてしまうので、NGですね。
靴下は黒のビジネスソックスでキメましょう。全身黒なので、チラッとでも違う色の靴下が見えると目立っちゃいますし、短い丈の靴下だと足の露出が気になります。
また数珠なのですが、お焼香のかわりに故人にお花を捧げる「献花」の場合があります。献花の時は、数珠は出番がないのでお留守番で大丈夫です。
喪服ビギナーさんは不安でしたら、しっかり「喪服」と書かれたものを購入しましょう。
「平服でお越しください」の判断の仕方
「平服→普段の服→カジュアル」って思った方、弔事に関してはそっちへ行っちゃダメです。
喪服の種類の中で平服にあたるのが、「略喪服」というものです。平服もやっぱり喪服なんです。だから弔事の場合、平服指定があったとしても、喪服のドレスコードに準じましょう。ちなみに喪服3原則の内、「光沢や模様、華美な飾りナシ」と「体のライン出しと露出NG」は適応されるので、要注意です。
- 女性の平服とは
前述しました「準喪服=いつもの喪服」は、漆黒でなくてはなりませんでしたが、今回の「略喪服=平服」では、黒に加えて濃い紺やグレーのワンピースとアンサンブルでもokなのです。
また種類としても、パンツスーツがこの略喪服の仲間に入っているので、平服指定の場合は着用okです。ただその場合でも、下に着るブラウスは無地の黒にしてください。男性のシャツが白いので、大丈夫かなと思ってしまうかもしれませんが、そこはフォーマルマナーに従いましょう。
靴やストッキング、アクセサリーもいつもの喪服=準喪服と同様です。
- 男性の平服とは
女性同様に、男性のスーツも黒だけではなくグレーや濃紺といった色の着用が許されています。ただし無地であることが好ましいです。ネクタイも黒に近い紺やグレーで大丈夫です。
シャツに関しては、無地の白というのは変わりませんので、注意が必要ですね。また靴下や靴、その他の持ち物に関しては、いつもの喪服のように黒で統一することをオススメします。
ただ平服の場合でも、ビジネススーツは避けた方がよいでしょう。故人を悼む式にかわりはないので、やはりそれに相応しい礼服を選ぶことがよいかと思います。
自由な雰囲気の中で追悼する無宗教葬ですが、忘れてはいけないのがこれも葬儀の形式の1つであり、儀式なのだということです。服装のフォーマルマナーを大切にし、故人や遺族へ敬意を払いたいですね。


まとめ
まだ日本では、仏教式葬儀が大半を占めている状況ですが、このパンデミックは、多くの方が自分の生活の在り方についてだけでなく、死生観についても考える機会となったのではないかと思います。そのため人生の終わりを「自分らしく飾りたい」と思う方も、ひょっとするとこれから増えてくるかもしれませんね。
ただ無宗教葬を選択する前に、気をつけたいことがあります。
- 家族や親族と相談、合意を得ること。
- 菩提寺への配慮も忘れないように。
- 葬儀社に丸投げにせず、しっかりとした打ち合わせをすること。
- 参列者への案内を細やかにしていくこと。
また参列者の服装に関しては、以下のことを守りましょう。
- 案内に従って、参列すること。
- 「喪服で~」の指示があった場合は、準喪服=いつもの喪服で。
- 「平服で~」の指示の場合は、略喪服で。
弔事に関しては、平服も喪服のフォーマルマナーに準じるようにしましょう。
無宗教葬でも慌てず心配なく、心温まるようなお見送りができるとよいですね。
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