弔事というのは、できれば無縁であってほしいものですが、そうはいきませんよね。
弔問客として、遺族として、いつかは必ず訪れる場面です。
とは言っても、弔事のマナーや弔事に関連する知識って学校で教えてくれないですよね。
「香典」「香典返し」「葬儀」「通夜」など言葉自体は耳にしたことがあるけど、一体どういうものなのかというのは経験するか、親や大人に教えてもらわないと分からないものです。


「何も知らない」じゃ済まされないんだよ。
レミみたいに、周りにそういうことに詳しい人がいるといいんだけどね。
私は、この記事を書くことで何かのお役に立てればと思っています。
今回のテーマは「お志」です。
「そもそも、『お志』って何だろう」「書き方って、『志』の書き順のことかな」
と思った方はいませんか。
「お志」なんて言葉、普段生活していて耳にする機会はほとんどありませんし、その言葉の意味を知ろうと思うこともないですよね。
でも、弔事において「『お志』とは何か」というのを知っておくことはとても大切です。
なので、「『お志』の意味」「『お志』が登場する場面」「香典返しの掛け紙や封筒の表書き」という項目から、一緒に「お志」について学んでいきましょう。
Contents
「お志」の意味を解説!!

まず、基本的な知識として、「お志」がどういう意味を持つ言葉なのかを知りましょう。
「もう知っているよ」って方も、復習がてら確認してみてください。
「お志」:お気持ち
「お志」には「お気持ち」という意味があるんです。
「あなたのお気持ちは大変嬉しいです」「お気持ちお察しします」など、相手の気持ちに対して敬意を払う時に「お気持ち」と言いますよね。

ということは、「お気持ち」の「お」は丁寧さを表すということです!
つまり、「お志」の「お」も丁寧語。
なので、自分の気持ちを表す時は「志」と記すのが正しい書き方です。
後ほど説明する、香典返し・引き出物の掛け紙や心づけの封筒の表書きには「志」と書くのが正しいです。
「お志」と書いてしまうと、自分に敬意を払っていることになってしまい、日本語として誤りですので注意しましょう。
まとめると以下の通りです。
<「お志」と「志」の違い>
「お志」:相手の気持ちを表す時に用いる言葉。「お」は丁寧語。
「志」:自分の気持ちを表す時に用いる言葉。

「お志」と「志」の違いが分かったところで、もう一つ注意してほしいポイントがあります。
それは、「寸志」と「志」の違いです。
<「寸志」と「志」の違い>
「寸志」(読み方:すんし):目上の人が目下の人に対して使う言葉。
「寸志」を目上の方に対して使うのは失礼にあたります。
目上の人に対しては「志」を使いましょう。

「寸志」なんて言葉も、知らない人の方が多いですよね。
普段使いませんしね(笑)
でも、今「寸志」の使い方を知った皆さんは周りの人より一つ知識が増えました!
「やった!」ですね。
ここまでで、「お志/志」の意味についての説明は終了です。
意味は分かりましたか。
意味を知っておくことは基本中の基本であり、一番大切なことです。
「お志/志」の意味を忘れないでくださいね。
話は変わって、今、「お志/志」と表記していますが、これからは「志」で統一したいと思います。
その方が説明しやすく、皆さんにとっても分かりやすいと思いますので。
弔事と法要の場面で「志」が登場する
「志」が登場するのは弔事と法要の場面です。
「志」というのは、弔事や法要における香典返し・引き出物の品につける掛け紙や心づけを入れる封筒の表書きに記す言葉です。
<掛け紙とは>
- 熨斗(のし)が添えられておらず、水引きが結ばれているだけの紙のこと
- 弔事の際に用いられる
- 最近は、水引きが印刷された掛け紙が一般的
<のし紙とは>
- 熨斗(のし)が添えられ、水引きが結ばれている紙のこと
- 慶事の際に用いられる
- 最近は、熨斗と水引きが印刷されたのし紙が一般的
画像が合った方がイメージしやすいと思うので、画像を載せておきますね。
そして、掛け紙とのし紙についてもっと詳しく説明している記事があるのでご紹介しますね。

「志」が何か物や事柄を示すのではなく、掛け紙や封筒の表書きに書く言葉なのです。
「志」という名の物や事柄を想像していた方もいるんじゃないですかね。
「志」と聞いただけでは分からないことですからね。
では、なぜ香典返しや引き出物の掛け紙、心づけの封筒の表書きに「志」と書くのでしょうか。
結論から言うと、理由は2つあります。
- 渡したものが何なのかを示すため
- 「志」は宗教・地域を問わない言葉だから
1.渡したものが何なのかを示す
香典返しや引き出物、心づけは遺族の感謝の気持ちです。
「これは感謝の気持ちです」ということを、一目見ただけで相手に伝わるように表書きに「志」と書くのです。
2.宗教・地域を問わない言葉
「志」と同じ意味でのしや封筒の表書きに書く言葉は他にもあります。
- 「満中陰志」:関西地域
- 「偲草」:神式
このように、使われる地域や宗教が決まっている言葉もあります。
その点、「志」というのは宗教・地域を問わず使える言葉なので、「志」と記すのが一般的です。

「志」が登場する場面は分かりましたか。
香典返し・引き出物の掛け紙や心づけの封筒の表書きに記す言葉が「志」です。
では、掛け紙と封筒それぞれの表書きの書き方を確認していきましょう。
正しい掛け紙5つのポイントを紹介!

まずは、「掛け紙」のマナーについて学んでいきましょう。
ポイントは5つ。
- 掛け紙のかけ方
- 水引きの色と結び方
- 「志」を書く位置
- 下段の書き方
- 使うペンの種類とインクの濃さ
掛け紙の表書きに「志」と書くということだけでは不十分なのです。
掛け紙に「志」と書くということに加えて、4つのポイントを全てクリアしてようやく正しい掛け紙の使い方を知れるのです。
1.掛け紙のかけ方
まずは「掛け紙のかけ方」です。
表面を見ただけでは分からないですが、裏面を見ると正しいかけ方になっているかどうかが一目でわかります。
「裏面なんて見ないでしょ」って思いますよね。でも、包装を外す時、まず掛け紙を外しますよね。その時見られちゃいます。正しい掛け紙のかけ方になっているか。
では、正しい掛け紙のかけ方と正しくないかけ方って一体何なのかを説明していきます。
まずは、以下の画像をご覧ください。
引用:タカシマヤのご贈答マナー
画像を見て頂ければ分かると思いますが、掛け紙(のし紙)のかけ方は慶事と弔事で異なります。
慶事:向かって右側が上になるように重ねる。(右前)
弔事:向かって左側が上になるように重ねる。(左前)
ということで、弔事や法要の際に贈る香典返し・引き出物の掛け紙は、「左前」が正しいかけ方になります
2.水引きの色と結び方
最近は印刷されたものが一般的となり、水引きの色や結び方で困ることはあまりないかと思います。
でも、もしかしたら自分で水引きを選んで結ぶことがあるかもしれないですよね。
その時、水引きに関して知識がなかったら大変なことになります。
なので、ここで水引きに関して説明します。
水引きに関して注意してほしい点は2つです。
- 水引きの色は白黒/白銀/白黄
- 結び方は「結び切り」
色については白黒が一般的ですが、関西の一部地域では白黄を用いるところもあるので注意しましょう。また、左側が薄い色、右側が濃い色になるように結びましょう。
例えば白黒の場合、左側が白、右側が黒ということになりますね。
結び方は「結び切り」にします。
水引きの結び方には他にもあるのですが、弔事ということで、「このような悲しいことが二度と起きませんように」という意味を込めて「結び切り」が良いとされています。
「結び切り」の一種で、「あわじ結び」というのもあります。
これは慶事・弔事両方で用いられる結び方です。画像で確認してみましょう。
<結び切り>
引用:熨斗紙素材館
<あわじ結び>
引用:熨斗紙素材館
私的には「あわじ結び」をよく見ますが、皆さんはどうですか。
「結び切り」と「あわじ結び」どちらも「二度と起きてほしくない」という意味がこめられているので、弔事の際の水引きの結び方としてはどちらでもOKです。
3.「志」と書く位置
掛け紙のかけ方、水引きの色・結び方を学んだ後は、いよいよ「志」と書いていきましょう。
「志」と書く時、まず注意してほしいのが、「書く位置」です。
「表書き」というくらいなので、「表に書くのだろうな」という想像はつくかと思います。
でも、「表」って言ってもいろいろですよね。
「右端」「左端」「中央」「上」「下」「真ん中」など書く場所はたくさんあります。
書く場所はたくさんあるのですが、書く位置は決まっています。
水引きを基準にして、水引きの上段、中央に書く。
文字だとイマイチぴんと来ないので、画像で確認してみましょう。
引用:タカシマヤのご贈答マナー
イメージできましたか。
水引きより上の、中央に書く。
「中央」の目安は、水引きが角みたいに2本上に出ているちょうど間くらいですかね。
右寄りでも左寄りでもなく、きっちり中央に書かれていると、見た目もスッキリして綺麗ですよね。
4.下段の書き方
「下段」というのは、水引きより下の空間のことを指します。
下段には贈り主の氏名を書きます。
弔事の場合は喪主の方の氏名を書きます。名字だけでも、フルネームでもどちらでも大丈夫です。
文字の大きさは「志」より少し小さめに書きましょう。
イメージはこんな感じです。
5.使うペンの種類とインクの濃さ
掛け紙に「何を、どの位置に書くか」はもうOKですよね。
では、「何で」書くのが正解なのでしょうか。
正解は毛筆です。
でも、わざわざ習字道具を引っ張り出し、墨を用意して書くのは手間が掛かりますよね。
そういう時は筆ペンを使いましょう。
また、最近は水引き、表書き、氏名すべて印刷されたものが主流になっているので、あまり気にしなくても良い所ではあります。

香典返しや引き出物となると、結構な人数分用意しなくてはいけないので、手書きは正直大変です。
ただ、もし手書きするってなった場合、ボールペンや万年筆は避け、筆ペンを使って書きましょう。そして、インクの濃さにも注意しましょう。
もちろんインクの色は黒です。
でも、黒でも真っ黒と灰色寄りの薄い黒というようにインクの濃さは違ってきます。
その濃さの違いも重要なポイントなんです。
- 四十九日法要まで:薄い黒(灰色)
- 四十九日法要後:濃い黒
四十九日法要を境にその前後で黒色の濃さを変えて書かなければいけません。
四十九日法要までは「深い悲しみの涙」という意味で、薄い黒色を用います。
四十九日法要後は「悲しみは尽きませんが、前に進みます」という意味で、濃い黒色を用います。

「インクの色なんて見てないでしょ」と思うかもしれませんが、
そういう細かいところまで配慮して書くことで、より気持ちが伝わるものになります。
掛け紙の書き方は分かりましたか。
5つのポイントを押さえて、きちんとした掛け紙が付いた品を贈りましょう。
香典返しの封筒の表書きの書き方を確認しよう!!

弔事の場面で封筒が登場するのは、葬儀の際にお世話になった方々への心づけを入れる時です。
葬儀において運営面でお世話になった親族やお友達、葬儀スタッフに対して、感謝の気持ちを伝えるのが心づけです。
心づけは現金で渡すのが一般的なので、その現金を入れる封筒が必要です。
その封筒にも表書きを書かなくてはいけません。
表書きはもちろん「志」です。
ポイントは3つ。
- 封筒の種類・色
- 「志」と書く位置
- 使うペンの種類とインクの濃さ
1.封筒の種類・色
まずは、封筒を用意しなければいけません。
その際、注意してほしいのが封筒の種類と色です。
- 種類:一重封筒
- 色:白色で無地のもの
封筒の種類には、二重封筒というものがあり、本来はそれが正式なものです。
しかし、「二重」という言葉は「不幸が重なる」と連想されるので、弔事の際には不適切です。
弔事の際は一重の封筒を用意しましょう。
色は白無地のものを選びましょう。
2.「志」と書く位置
「志」と書く位置に関しては、掛け紙と同じです。
上段中央に書く。
封筒の場合は水引きがないので、上段というより「上の方」と言った方が適切かもしれませんね。
イメージはこんな感じです。

3.使うペンの種類とインクの濃さ
ペンの種類、インクの濃さに関しても掛け紙と同じです。
- ペンの種類:毛筆or筆ペン
- インクの濃さ:薄い黒
毛筆もしくは筆ペンで書くのが正解です。
インクの濃さについては、心づけは葬儀の際に渡すことが多いので、薄い黒で書きましょう。
理由は先ほどもお話しましたが、薄い黒は「悲しみの涙」という意味を表すからです。
もし、四十九日法要後に封筒で何かを贈る際は、濃い黒で書いてくださいね。

封筒の表書きに関して、何となくイメージできましたか。
掛け紙ほど注意するポイントは少ないかもしれませんが、
封筒の種類やインクの濃さなど細かい所まで気にする必要があるので、油断大敵ですね。
まとめ

今回お話してきたことは学校では教えてくれません。
経験したり、自分で調べたりすることでしか得られない知識です。
でも、いつかは必ず必要になる知識なんです。
皆さんは今回「お志」の意味や使い方、掛け紙や封筒の正しい使い方を知りました。
弔事はできれば無縁であってほしいものですが、そういうわけにもいきません。
皆さんが弔問客として、遺族・親族として弔事に関わった時、今回得た知識が役立つと嬉しいです。
最後に、今回のまとめをしておきましょう。
- 「お志/志」の意味は「お気持ち/気持ち」
- 「お志」と「志」、「寸志」と「志」の違いに注意
- 「志」は弔事の際、掛け紙や封筒の表書きとして使われる言葉
- 掛け紙や封筒の正しいマナーを身につけることが大事
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まあ、私は儀不斗くんにいろいろ教わって、少しは知識がついたよ。