「お志」って言葉を知っていますか。
読み方は「おこころざし」というのですが、あまり聞き慣れない言葉ですよね。
何度か葬儀に参列したことがある方は知っているかもしれませんが、20代くらいの若い方はなどは葬儀に参列する機会もあまりなく、「お志」がどういうものなのか分からないのではないでしょうか。
そう思って、私の友達のレミという20代の女の子に聞いてみました。
「お志って何だと思う」と。レミの答えはこうでした。

予想通りの答えでした。というのも、知らなくて当然だと思うからです。
「お志」が何なのかというのは、どこかで教わるものではなく、自分で調べて知るか、経験して知るかですからね。
でも、普通に生活していて、「お志って何だろう」と疑問に思う瞬間なんてあんまり、というか全然ないですよね。
しかし、この記事にたどり着いた皆さんは、何かのきっかけで「お志とは何か」という疑問を持ち、それを調べようとしているんですよね。
今から、皆さんの知識の中には「お志」という言葉が追加されます。
もしかしたら、その知識を知らなくても生きていけるかもしれません。でも、知っていればいつかどこかで必ず役に立つ時が来ます。
皆さんの中で「お志とは何なのか」という答えが見つかるよう、お手伝いできたらと思います。
ということで、今回は「お志」が一体何を指すのかを分かりやすく解説していきます。
Contents
「お志」って何?意味、使われる場面、すべて解説します!


まずは、「そもそも、『お志』って何?」という疑問から解決していきましょう。
「お志」について基本的に知っておくべきことは、2点。
- 「お志」という言葉の意味
- 「お志」という言葉が登場する場面
1.「お志」という言葉の意味
「お志」とは、「お気持ち」という意味です。
「お」は尊敬語なので、自分の気持ちを表す際は「お」を取って、「志」と表記するのが正しいです。「お」を取った「志」の意味はもちろん、「気持ち」です。
相手の気持ちのことを指す場合は「お志」、自分の気持ちを指す場合は「志」を用いるという点に気を付けましょう。
2.「お志」という言葉が登場する場面
言葉の意味が分かったところで、「(お)志」は一体どのような場面で用いられるのかを説明します。
結論から言うと、感謝の気持ちを伝えるために贈る金品に用いられる言葉です。どういうことか説明しますね。
感謝の気持ちを伝えるために品物を贈る際、「のし」を付けると思います。
「志」はその「のし」に書く言葉ということです。
一方、品物ではなくお金を贈る場合、封筒にお金を入れますよね。
その封筒の表に書くのが「志」です。これを「表書き」と言います。
もうお分かりのように、自分から相手に対して感謝の想いを伝えるための金品の場合、「お志」ではなく、「志」と書くのが正しいです。
のしや封筒の表書きに「お志」と書くと、「私のお気持ち」ということになり、自分に尊敬語を使っていることになります。
これは日本語の敬語としては誤った使い方になるので、注意してください。
<「寸志」と「志」の違い>
「(お)志」と似た言葉に「寸志」という言葉があります。
「(お)志」は先ほども説明した通り、「気持ち」という意味であり、感謝の気持ちを伝える際、のしや表書きに書く言葉です。
一方、「寸志」は目上の人が目下の人に品物やお金を贈る際、のしや表書きに書く言葉です。
<上司と部下のやりとりの場合>
上司が部下に感謝の気持ちで品物を贈る際、のしに書くのは「寸志」であり、
部下が上司の昇進や退職でお祝いの気持ちを込めて何か品物を贈る際、のしに書くのは「志」ということです。

「(お)志」というのは、それ自体が何か物やお金を指すのではなく、
感謝の気持ちを伝えるために贈る品物の「のし」やお金を入れる封筒の「表書き」に書く言葉。
「(お)志」と書くことで、贈った品やお金が「感謝の気持ちです。受け取ってください」ということを相手に伝えているんだ。
次からの章では、葬儀と法要の場合、どういったことで「(お)志」と書かれた「のし」や封筒を使うのかを見ていきましょう。
「(お)志」と書かれた「のし」や封筒―葬儀で用いられるのはどんな時?―
「(お)志」は「のし」や封筒の表書きに書く言葉であることはもう分かりましたよね。
では、葬儀の場面ではどういう時にその「のし」や封筒が登場するのでしょうか。
結論から言います。
- 香典返しの「のし」
- 葬儀でお世話になった方々への心づけを渡す封筒
香典返しの「のし」

画像の引用:香典返し.jp
ここで言う香典返しは「当日返し」と呼ばれるものです。香典返しは四十九日法要後に贈るのが慣習でしたが、最近では当日返しをする方が多くなっています。
香典返しの品は「遺族の感謝の気持ち」を表しており、それにつける「のし」には「志」と書くのが良いでしょう。
「志」と書くことで、「この品は私たち遺族の感謝の気持ちです」ということが「のし」を見るだけで分かります。
<「のし」について>
弔事や法要で使われる「のし」は白黒もしくは白黄の水引きが印刷されているものが一般的です。
水引きは左側が薄い色、右側が濃い色になっています。
水引きの色は地域によって異なることがあります。例えば、関西の一部地域では白黄の水引きが使われるところもあります。
最近は、印刷されているものが多いので、あまり気にする必要はありませんが、もし自分で結ぶという方がいらっしゃった場合、結び方は「結び切り」にしましょう。
この結び方には、「二度とこのような悲しいことが繰り返されませんように」という意味が込められています。
葬儀でお世話になった方々への心づけを渡す封筒

葬儀というのは、やらなくてはいけないことが本当に多く、遺族だけでは手が回りません。例えば、お坊さんへの挨拶、葬儀社との打ち合わせ、弔問客の受付、香典の管理など。
その中でも、遺族にしかできないことと親族やお友達に頼ってもいいことがあります。
お坊さんへの挨拶や葬儀社との打ち合わせは遺族がやらなければいけないことですが、弔問客の受付や香典の管理は親族やお友達の力を借りてもいいところです。
そこは遠慮せずに頼ってください。でも、そのお礼は必ずしなくてはいけません。
このように、葬儀を営む上で、様々な協力をしてくださった方へのお礼を「心づけ」と言います。
この「心づけ」は多くの場合現金で渡します。現金を渡すわけなので、封筒に入れて渡すのがマナーです。
封筒は白無地のもので、金額に合った大きさのものを用意しましょう。
そして、その封筒の表書きが、「志」です。表書きの「志」は「滞りなく葬儀を営むために、ご協力いただきありがとうございました」という感謝の気持ちを表すものです。
ここで、心づけに関して少しだけ補足説明しておきます。
<心づけの相場>
一概には言えないが、大体2,000~5,000円程度。
協力してもらった時間や仕事量に応じて、遺族で話し合って決めるのが良いと思います。
<心づけを渡す対象>
葬儀を営む上で、お世話になった方々。
(例)受付係、霊柩車の運転手、マイクロバスの運転手、火葬場のスタッフ
ただ、既に見積もりに含まれている場合もあるので、確認しましょう。

葬儀において、「のし」や封筒の表書きに「志」と書く場合のことは分かったかな。
さて次は、法要の場合を見ていこう。
「(お)志」と書かれた「のし」や封筒―法要で用いられるのはどんな時?―
法要の際、「のし」や封筒に「志」の文字を書くのは、以下の2つの場合があります。
- 四十九日法要後に香典返しを贈る際、香典返しの品につける「のし」
- 法要に参列し、お仏前や供花を頂いた方に贈る引き出物につける「のし」
四十九日法要後に贈る香典返しにつける「のし」
画像の引用:シャディ公式サイト
先ほど、香典返しには「当日返し」の場合と四十九日法要後に贈る場合があるとお話しました。
ここでは、四十九日法要後に香典返しを贈る場合の話です。といっても、当日返しと違うところは、贈るタイミングだけです。
当日返しでも四十九日法要後でも、贈る品物に「のし」をつけるというのは変わらず、その「のし」に「志」と書くのも同じです。
「これは私たち遺族からの感謝の気持ちです」という想いを「志」という一文字に込めるのです。
四十九日法要後の香典返しにつける「のし」の表書きの書き方はこちらの記事でも詳しく紹介していますので是非参考にしてみてください。
引き出物につける「のし」

画像の引用:シャディ公式サイト
法要といっても、四十九日法要だけではありません。一周忌や七回忌など法要を営むタイミングは結構あります。
その法要に、親族や故人と親しかった方々が参列して下さることがあると思います。その際、参列者は香典やお花を供えてくださいます。
供えて頂いた香典やお花のお礼として、遺族は引き出物を用意しなければいけません。

「えー、法要とか何回もあるのか」とビックリする反面、「大変だな」と思った方、いませんか。
そうなのです。葬儀が終わっても、法要を始め遺族がやらなくてはいけないことってたくさんあるんです。
とても大変なんです。
話を戻します。
法要に参列し、香典やお花を供えて下さった方への引き出物にも「のし」を付ける必要があります。
もうお分かりかと思いますが、その「のし」にも、「志」の文字を書く必要があります。
なぜだか分かりますよね。
「故人を想っていただき、そして香典やお花をお供えいただきありがとうございます」という感謝の気持ちを伝えるためです。
<引き出物について>
法要において、「引き出物」とは法要に参列していただいた方々へのお礼の品です。
また、法要に参列する方は、多くの場合、香典やお花を供えてくださいます。そのことに対するお礼と言ってもいいですね。
四十九日後に香典返しを贈るという話もしましたが、それは葬儀の際に供えていただいた香典に対するお礼の品です。
それに対し、繰り返しますが、「引き出物」は法要に参列し、香典やお花を供えて下さった方々へのお礼の品です。
「香典返し」と「引き出物」は似ていますが、厳密には違うので注意しましょう。

葬儀と法要それぞれで、「のし」や封筒に「志」と書く場面は分かりましたか。
一番大切なのは、「志」という言葉は、あなたの「感謝の気持ち」を意味するということです。このことだけは覚えておいてくださいね!
まとめ
今回の記事では、「(お)志って何だ」という疑問から始まり、
「『(お)志』という言葉の意味」「どういう時に『(お)志』という言葉が用いられるのか」「葬儀・法要それぞれの場面でどういう風に用いられるのか」
ということについてを解説してきました。
「(お)志」が一体何なのか、何となくイメージはできましたか。
最初にも言いましたが、「(お)志」という言葉自体、普段の生活で耳にすることはほとんどありませんし、もちろん正確な意味だって知りません。
こういったことを知らなくても不便なことはないかもしれません。もしかしたら、知らなくても生きていけるかもしれません。
でも、もし当事者になった時、香典返しや引き出物の「のし」や心づけの封筒に「志」と書くことを知らなかったら、困りますよね。それに「志」の意味を知らなかったら使い方を間違えるかもしれませんよね。
しかし、皆さんは今回「(お)志」について知識を得ました。だからそんな心配は無用です。今回知ったことは頭の隅っこにずっと残しておいてくださいね。きっといつか役に立ちます。
では、最後に今回のお話をまとめておきましょう。
- 「(お)志」は「(お)気持ち」という意味
- 感謝の気持ちを伝えるために「志」の文字を記す
- 香典返しや引き出物の品につける「のし」や心づけのお金を入れる封筒の表書きに「志」と書く
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