喪主の役割をご存知ですか。喪主は葬儀全体の取りまとめ役であり、主催者です。例えていえば、オーケストラの指揮者です。出来不出来は指揮者次第ですが、指揮者は練習を重ねられますが、喪主はそうはいきません。喪主になった時の心構えと、喪主の役割を理解して弔問客の応対をしましょう。
弔問に訪れる方は、必ず喪主にご挨拶されます。喪主は、遺族を代表して故人の代わりに弔問に訪れる方への対応を行う役割があります。
喪主になるには、暗黙のもとに決まることが多いですが、それは必然的に故人とのつながりが深い人が務めることになるためです。故人に縁の深い人、それぞれの場面にあった挨拶のしかたと喪主としての役割、葬儀を行うために知っておきたい知識、葬儀後は何をすれば良いのかを紹介します。
Contents
家族が亡くなられたら
葬儀を行うためには、2つの書類のどちらかが必要になります。
・死亡診断書+死亡届:医師又は歯科医師のみが発行できる書類。
・死体検案書 :警察署から発行される書類。


家族が自宅で亡くなった場合
病気で自宅療養中に亡くなった場合は、主治医に連絡します。その後の対応は、主治医の指示に従います。主治医が、診療中の病気で間違いなく亡くなられたと診断した場合は、死亡診断書が発行され葬儀が可能になります。
・主治医が、診療中の傷病で亡くなられたと判断できない場合は、警察に連絡するように言われるか、主治医から連絡をすることになります。その場合は、警察による死亡に至った経緯の事情聴取がされます。
・警察が来るのは、事件性の有無確認になります。事件性が無いと判断されれば、必要な手続きを経てから死体検案書が発行され葬儀が可能になります。死体検案書が無ければ葬儀を行うことはできません。
・家族が自宅でなくなられているように思われる時、もしかしてまだ生きていると思える場合は、蘇生処置(人工呼吸)をしながら119番通報で救急車を呼びましょう。救急隊員が組成可能と判断した場合は、蘇生処置がその場で行われるか、病院へ搬送されます。
・救急隊員が、その場で死亡と判断*(本来、死亡の判断は、医師か歯科医師にしかできません)した場合は、蘇生処置は取られずに、救急搬送もされません。救急隊員から警察に連絡されます。その後は、警察の事情聴取が行われますので、指示に従いましょう。
*救急隊員による死亡判断は、厳格な条件の下に運用されています。
自宅で亡くなられた場合、絶対にやってはいけないことがあります。救急車が来るまでまたは警察が来るまでは、遺体を動かさない、移動しない、触らない、化粧をしない、着替えさせないでください。
例えば、お風呂で亡くなった場合、風呂から出しておきたい、裸なので衣服を着せたい、などの行動をとりたくなりますが、これは絶対にやってはいけない行動です。場合によっては証拠隠滅などの疑いで、事情聴取が長くなり遺族にとってはあらぬ疑いをかけられたり、精神的にかなりの負担となります。
急なことで精神的に落ち着いていられないかも知れませんが、亡くなられた本人のためにも移動するのは警察の死体検案書が出るまで、または移動の許可が出るまで待つことが大事です。
参考:こだいら就活支援カフェ
医師から死亡診断書又は警察からの死体検案書が発行されたら葬儀の準備に取り掛かります。まずは、葬儀屋さんの手配が必要になります。事前に契約(互助会などに加入)されている葬儀屋さんが無い場合はこちらで探すことができます。
参考:いい葬儀
葬儀屋さんが決まりましたら、葬儀屋さんと打ち合わせを行います。自宅なので、納棺の手配、通夜の手配、親族、友人。知人への連絡、必要により会社関係へ連絡など葬儀のための準備を行います。
病院で亡くなった場合
救急車で病院へ搬送されてから亡くなられた場合、または病院で病気療養中に亡くなられた場合は、病院の医師または主治医によって死亡診断書+(死亡届)(1枚の用紙で左右に印刷されて必要事項が記述される)が発行されます。死亡診断書を受け取ったら、死亡届欄に家族又は親族が必要事項を記入して役所に届け出をします。
病院で亡くなられた場合は、病院から自宅または指定の場所へ搬送することになります。家族の車での搬送も違反ではありません。遺体には適切な処置が施されていますので、座位での搬送には無理がありますし、車内を汚してしまう可能性もあります。寝かせた状態での搬送が可能な車が必要になりますので、遺体専用の搬送車を持つ葬儀屋さんに依頼するのが適切でしょう。
どうしても家族の車で搬送したい場合は、車内の汚れ対策をしてから車に乗せるとともに、死亡診断書又は死体検案書を携行する必要があります。携行しないで仮に、検問に会い遺体があった場合、死体遺棄罪を問われる可能性があります。
葬儀屋さんの車で搬送する時は、携行の必要はありません。悲しみの中に、事情を聴取されるなどの余計なリスクは避けるためにも、専門家である葬儀屋さんにお願いすることが適切でしょう。
病院から遺体を搬送するために、葬儀屋さんを紹介される場合もあります。搬送のみを依頼することもできますし、葬儀まで依頼することもできます。紹介された葬儀屋さんを断って別の葬儀屋さんに依頼することもできます。(お断りすることは、失礼ではありません)
病院紹介の葬儀屋さんに遺体の搬送を依頼する場合は、自宅までを依頼してください。搬送する葬儀屋さんの施設へ搬送すると、そこから自宅へ搬送することが依頼しにくく感じることになるからです。紹介された葬儀屋さんに、葬儀までお願いするということであれば特に問題ありません。喪主と家族で相談してどう対応するのが良いか決めることが大切です。
ここからは、自宅で亡くなられた場合と病院で亡くなられた場合も共通です。死亡届を役所に届け出ると、火葬許可証兼埋葬許可証が出ます。火葬許可証は、火葬場に出します。埋葬許可証(火葬許可証に、火葬場で火葬終了の日付を記入したものを渡されます)は、菩提寺(お寺)へ出すことになります。
慌ただしく手続きを終えたのちに、葬儀屋さんと自宅での納棺、通夜会場への遺体搬送、葬儀、告別式の準備を本格的に始めます。
死亡から葬儀までの手順

喪主の役割
喪主のほかに、施主という立場もありますが、現代においては喪主が施主を兼ねていることもあり、喪主のみのことも多くなりました。喪主と施主の違いとは、喪主は葬儀全体の取りまとめを行う責任者、施主は葬儀における費用負担をする責任者になります。
・役所へ死亡届提出:死亡届後火葬許可証を受け取り、火葬場へ渡します。火葬終了後、埋葬許可証を受け取り菩提寺(お寺)へ渡します。
・菩提寺への連絡 :菩提寺が無い場合は、葬儀屋さんに相談しましょう。
・葬儀屋さんの選定:葬儀屋さんをご存知ない場合、こちらでも探せます
・訃報の連絡 :親族や友人・知人、近隣の親しい人、会社関係に連絡します。
・挨拶 :受付を担当してくださる方へ
・ :通夜の席にて
・ :告別式後の出棺に際して
・ :葬儀・告別式後の精進落としの開式、閉式のとき


喪主の挨拶例文

僧侶のお出迎えのとき
「お忙しい中、お越しいただきありがとうございます。本日は大変お世話になります。どうぞよろしくお願い致します。」
僧侶のお見送りのとき
「本日は、お忙しい中お勤めをして下さりありがとうございました。さぞ故人も喜んでいるとおもいます。些少ではございますがお納め*ください」と言って、お布施、お車代、御膳料を渡します。
*お渡しするのは、お布施、お車代、御膳料(通夜後の食事、葬儀後の精進落としを、食されずにお帰りになるときに渡します。食事をされて帰られる時は、渡す必要はありません。)お寺によっては、お布施を事前にお渡ししているところもあります。
その際はお車代、御膳料のみを渡します。お金を入れる袋は、不祝儀袋か不祝儀袋の中袋と同じ袋がありますので表にお車代、御膳料と書きます。裏面には、喪主の名前を書きます。金額は記入しません。目安はどちらも5,000円位で良いでしょう。
友人・知人が弔問に訪れたとき
「お忙しい中、お越しいただきありがとうございます。故人も○○様が弔問に来てくださり、さぞ喜んでいることと思います。入院中のお見舞いや、これまでのご厚誼に厚くお礼申し上げます。退院した後に、皆様とお会いするのを楽しみにしておりましたが、それもかないませんでした。式が始まるまで、別室に湯茶の用意がしてありますのでお召し上がりください。本日はありがとうございました。」
会社関係
「ご多用中のところ、通夜式(告別式)にお越しくださりありがとうございます。生前のご厚誼に感謝申し上げます。ご弔問いただき、さぞ故人も喜んでいることと思います。開式まで少し、お時間がございます。別室に、湯茶の用意がしてありますのでお召し上がりください。」
通夜、告別式に早めに到着される方もいらっしゃいますので、湯茶の準備を別室に用意してご案内するのが良いでしょう。
受付や葬儀の手伝いの方へ
「お忙しい中、通夜と葬儀・告別式まで大変お世話になります。何かと行き届かないこともあるかと思いますので、足りないことや分からないことがありましたら、何なりとおっしゃってください。今日と明日の二日間お世話になりますが、どうぞよろしくお願い致します。」
親族関係
親族への挨拶は、これまでの状況が分かっているので、時候の挨拶や形式にとらわれることなく挨拶をすればよいでしょう。
例えば、「九十歳まで大病も患うこともなく健康で過ごすことができて、家族としては何よりもの慰めでした。最後も眠るように安らかな最期を迎えることができたことは、残された家族に対しての思いやりではなかったかなと思っています。残された家族一同、これからも皆様のご厚誼とご指導をどうぞよろしくお願い致します。」
通夜の挨拶
挨拶の要点は、弔問に訪れた皆様に対するお礼、生前の病気療養中のお見舞いに対するお礼、これまでのご厚誼に感謝する内容を盛り込んで話します。その後、通夜席(通夜振る舞いともいいます)の案内、葬儀・告別式のご案内を骨子として手短に話します。
「本日はご多用中にも関わらず、遠方より故○○のためにお越しくださりまことにありがとうございました。かねてより○○は病気療養中ではございましたが、薬石の効なく生涯を閉じることになりました。生前に、皆様からいただきましたご厚誼に対し、故人に成り代わり御礼申し上げます。参列していただいた皆様のおかげをもちまして、通夜も滞りなく済ませることができました。改めて御礼申し上げます。
通夜式終了後、別室にて粗餐ではございますが食事の席を設けておりますので、お時間の許す方はぜひお召し上がりください。その際に、故人の思い出話などをお聞かせ願えればと思います。なお、葬儀・告別式は明日午前○○時よりこの会場で執り行います。どうぞよろしくお願いいたします。本日は、まことにありがとうございました。」
通夜席開始のとき
「本日は亡き○○のためお忙しい中、通夜にお越しくださりありがとうございました。○○もさぞ喜んでいることでしょう。お時間の許す限り、亡き○○の思い出話をしながらお過ごしいただければと思います。どうぞよろしくお願い致します。」


通夜席終了のとき
「本日はありがとうございました。故人の思い出話をして頂き、話は尽きませんが遠くから来られた方もおりますので、勝手ではございますが、ここで終了とさせていただきたいと思います。明日、この会場で午前○○時より葬儀・告別式を行います。ご会葬いただければ幸いです。どうぞよろしくお願い致します。」
葬儀・告別式終了後の出棺に際して

例えば、「本日はお忙しい中、また遠いところおいで頂き○○の葬儀・告別式にご会葬を賜り誠にありがとうございます。
故○○は病気療養中のところ一昨日、容態が急変し帰らぬ人となりました。享年○○歳でした。生前、皆様から頂きましたご厚誼に厚くお礼申し上げます。皆様のおかげをもちまして、無事に葬儀・告別式を滞りなく執り行うことができました。御礼申し上げます。
残された私たちは、まだ未熟でございます。私たちに対しても故人同様変わらずにご指導ご厚誼を賜りますようお願い申しあげます。本日は、最後までお見送りいただきありがとうございました。」
精進落とし開始のとき

「本日は、亡き○○の通夜、葬儀・告別式と二日間に渡り、皆様には大変お世話になりました。おかげさまを持ちまして、滞りなく葬儀を執り行いことができました。これもひとえに皆様のご協力の賜物です。故人も、さぞ感謝していることと思います。
些少ではありますが、精進落としの膳を用意させていただきました。お時間が来るまで、ごゆっくりお召し上がりください。本日はありがとうございました。」
精進落とし閉式のとき
「本日はまことにありがとうございました。お席にご挨拶に伺った時に、○○の知らない一面をお伺いすることができました。まだ、思い出など語りつくせないかと思いますが、集骨のお時間がまいりますので、この辺りで終了とさせていただきます。
なお、49日追善法要は、○月○日の日曜日を予定しております。時間等は、また改めてお知らせいたします。本日はありがとうございました。」
受付の方へのお礼の挨拶
「二日間に渡り、受付と言う重責を引き受けていただき、本当にありがとうございました。至らない点もありご迷惑をおかけしたと思いますが、深く感謝いたします。本日はありがとうございました。


葬儀後の手続き(知っていることが、必要です)
火葬後、収骨して葬儀当日に納骨される場合と、49日追善法要の時に納骨される場合があります。火葬後納骨をされる場合は、そのまま菩提寺の墓所へ納骨に参ります。49日追善法要の時に納骨される場合は、収骨後に散会となります。
葬儀が一段落したら、菩提寺へ49日法要の手配、位牌の準備、墓碑へ戒名の文字彫刻の手配(石材店へ)、仏壇・墓所が無ければ、仏壇・納骨場所の準備をしましょう。
役所には、年金や健康保険の停止(保険は、勤務していた会社の健康保険組合の場合もあります)手続き、銀行口座凍結の解除、不動産や公共料金の名義変更、故人の所得税確定申告・準確定申告が必要になります。
所得税の確定申告は、亡くなられた日が、1月1日から3月15日の場合は、前年の所得税申告と今年度分の所得税申告が必要になります。3月16日以降は、今年度分の所得税申告になります。申告は、相続開始を知った翌日から4カ月以内に相続人が手続きします。
遺産相続は、故人が亡くなられた日から10カ月以内に、相続税の申告と税額の納入を完了しなければなりません。
所得税、相続税に関して分からないことがあれば、税務署か、税理士さんに聞いてください。
葬儀後の、各種手続きには、死亡診断書が必要になる場合があります。コピー可なので、コピーしておいたものが、役立ちます。
参考:国税庁HP
まとめ

家族が亡くなると、遺体の引き取り、葬儀屋さんの手配と共に葬儀の準備、親族や友人・知人、隣近所の親しい方、会社関係へ訃報の連絡を行います。葬儀の一連の準備は、悲しみの中にも慌ただしく行うことになります。故人の尊厳を守り、葬儀の一連の流れの中で弔問に訪れる方に対して失礼のない対応が望まれます。
葬儀で喪主になることや喪主としての挨拶は、一生のうちに何度も経験するものではありません。不慣れであることは当然です。喪主はとても大変な役割を担っています。家族や親族、友人・知人などの協力を得て、葬儀を行うことができれば故人もうかばれる葬儀になるのではないでしょうか。
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