葬儀の場で必ず『お布施』は必要ですよね。何気なく僧侶の方に渡している人も多いのではないしょうか。でもお布施で、費用や相場などを正確に知っている方は少ないように思えます。
私も喪主で葬儀を行った際にお布施をいくら包めばいいのか分からず、親戚に聞き倒した経験があります。人によって金額はバラバラで、僧侶の方に聞いても「お気持ちだけで結構です」なんて言われてしまい、途方に暮れました。
結局、親戚に聞いた金額の平均値を包み、葬儀の際に僧侶の方にお渡ししました。その金額で良かったのか悪かったのか今でもよくわかりません。
「お気持ちだけで結構です」って、そのお気持ちを知りたいんです。失礼にあたらず、親戚からもとやかく言われないようにするためにいくら包めばいいのか。その費用や相場と共に包み方や渡すタイミングなどのマナーも併せてご紹介していきます。
この記事を見ればバッチリです!と胸を張って言えるよう、しっかりと学んで葬儀の場に役立てていきましょう。
Contents
お布施って何?

お布施とは、葬儀や法事の際に読経や戒名を頂いたお礼として金品を僧侶に渡す事をいいます。正しい表現としては、『渡す』ではなく『寄付金』や『本尊へのお供え』となります。
お布施の目的とは
お布施をいつもしているけど何故しているのか分からない。今までしていたから何となくしている。こんな人が殆どではないでしょうか。そもそもお布施とは、仏教の波羅蜜における悟りを開くために菩薩が行う修行の一つです。仏教では『布施』といいます。
布施には『財施』『法施』『無為施』の三種類があり、法事や葬儀の場で僧侶へお布施を渡す行為に該当するのは、この中の『財施』に該当します。
布施(ふせ)は、梵語では「檀那(旦那)(ダーナ、दान、dāna)」といい、他人に財物などを施したり、相手の利益になるよう教えを説くことなど、「与えること」を指す。
引用:Wikipedia
お布施をお供えする事により、寺院を維持管理しご本尊をお守りしていく事になります。よって『渡す』という表現よりも『お供えする』という表現を使用するようにしてください。
料金という意味ではない
よくお布施は、読経や戒名に対する代金だと思っている方がおられますが全く違います。あくまでも僧侶の方へ感謝の気持ちとして、こちらからお供えする物です。
読経や戒名に対する代金は存在しないのか
存在します。お布施に含むという考え方もありますが、基本的に別で僧侶から請求される事が多くあります。宗派によってはお布施には読経や戒名の代金も含まれております。一族代々の宗派や宗教を把握しておく事が大切です。
また葬儀でお渡しするお布施と、法要でお渡しするお布施は別で考えて下さい。
葬儀でのお布施の相場とは

お布施をお渡しする際に悩むのはその金額ではないでしょうか。人によってバラバラだったり、渡せないような高額であったり。僧侶の方へ聞いても読経や戒名に対する代金は教えてくれるのに、お布施に関しては「お気持ちで」と言われてしまう。誰もが悩む事でしょう。
親や親戚に聞いて代々家はこれくらいの金額をお渡ししている、といった具体的な金額を提示されればどれほど楽か。でもそうではなく何もかもが初めてだと、分かりづらいことも多いでしょう。
基本的にお布施は、僧侶の方も言うように『貴方の気持ち』次第です。貴方が葬儀や法事でお世話になった僧侶の方へ、ありがとうという感謝の気持ちと共にお渡しすればいいのですが、ではいくらお渡しすればいいのか、宗派、宗教別、法要別にご紹介していきましょう。
宗派によっては読経や戒名がお布施に含まれている場合がありますので、その場合は先祖代々の菩提寺の宗派を事前に把握しておくとよいでしょう。
浄土真宗の葬儀
浄土真宗とは鎌倉時代初期の僧侶、親鸞聖人の教えを伝える宗派です。
浄土真宗では戒名を法名としており、お布施には読経や法名の代金を含んでいるという考え方が一般的です。普通の法名で20万円~となり、院号が法名につくと50万円~、となっているようでこれはあくまで目安となります。
浄土真宗は東西で細かく宗派が別れていますが、20万円~30万円を目安にするといいでしょう。
曹洞宗の葬儀
曹洞宗とは日本仏教における禅宗の一つです。曹洞宗でのお布施は戒名ごとに違います。
- 戒名が『信士・信女』は30万円~50万円程度
- 戒名が『居士・大姉』は50万円~80万円程度
- 戒名が『院信士・院信女』は100万円~
- 戒名が『院居士・院大姉』は100万円~
以上の目安になる場合が多いです。これは地域や寺院ごとに違いがあります。詳しく知りたい場合は、葬儀社や菩提寺に問い合わせするとよいでしょう。
浄土宗の葬儀
浄土宗は法然上人を宗祖として仰いでいる宗派で浄土信仰に基づく日本仏教の一つです。名前が似ている浄土真宗とは別の宗派なので混同しないようにお願いします。
浄土宗の葬儀でのお布施の目安では、具体的な金額はありません。お布施で渡すのは喪主の方の年収の10%~20%がいいとされています。各地域での平均的な金額では、15万円~が多いようです。
浄土宗についても菩提寺へ問い合わせするとよいでしょう。
臨済宗の葬儀
曹洞宗と同じく禅宗の一つで、葬儀でのお布施も曹洞宗と同様に考えるといいでしょう。ただし戒名として『院信士・院信女』は存在しないので注意が必要です。戒名に『院信士・院信女』が付く場合は正確に把握し直してください。
- 戒名が『信士・信女』は30万円~50万円程度
- 戒名が『居士・大姉』は50万円~80万円程度
- 戒名が『院居士・院大姉』は100万円~
天台宗の葬儀
天台宗は大乗仏教の一つです。中国発祥で最澄が日本に伝え、多くの日本仏教の宗派が天台宗から分派しました。
天台宗の葬儀のお布施は曹洞宗と同じ考えていいようです。地域によって細かな差は存在しますが、おおよその目安は曹洞宗を参考にお願いします。
- 戒名が『信士・信女』は30万円~50万円程度
- 戒名が『居士・大姉』は50万円~80万円程度
- 戒名が『院信士・院信女』は100万円~
- 戒名が『院居士・院大姉』は100万円~
真言宗の葬儀
弘法にも筆の誤り、ということわざがあるように、弘法大師(空海)を宗祖とする日本仏教の一つ。最澄の天台宗と同時期に開かれたとされています。
真言宗も曹洞宗や天台宗と同じような金額です。
- 戒名が『信士・信女』は30万円~50万円程度
- 戒名が『居士・大姉』は50万円~70万円程度
- 戒名が『院信士・院信女』は80万円~
- 戒名が『院居士・院大姉』は100万円~
日蓮宗の葬儀
鎌倉時代中期に日蓮により開かれた宗派で、法華宗とも称されます。日蓮宗では戒名ではなく、法号と呼びます。
- 法号が『信士・信女』は10万円~30万円程度
- 法号が『居士・大姉』は30万円~60万円程度
- 法号が『院信士・院信女』は60万円~
- 法号が『院居士・院大姉』は100万円~
地域別での相場
宗派別での相場があるとご紹介してきましたが、では地方ごとの平均的な相場をご紹介します。
- 北海道地方 約30.8万円
- 東北地方 約48.7万円
- 関東地方 約53.3万円
- 中部地方 約50.3万円
- 近畿地方 約48.3万円
- 中国地方 約32.8万円
- 四国地方 約32.3万円
- 九州地方・沖縄 約34.3万円
- 全国平均 約41.3万円
となります。何度も言うように宗派は含めない金額ですので、これで宗派での戒名などを含めるとこれ以上の金額になるということです。一つの目安として参考程度に覚えておくといいでしょう。
法要でのお布施の相場とは
法要でのお布施の相場は平均して、3万円~5万円がほとんどです。法要には亡くなって七日ごとに法要を行いますが、最近は核家族や親族が高齢化してきており、初七日と四十九日以外は省略することが多いようです。
仏教において四十九日は最も大切な日とされます。故人が来世の行先が決まるため、四十九日の法要は家族親族だけではなく、縁の深い人たちも呼んで法要を行います。その時の目安としても、3万~5万ほどで、故人に近い親族ならば5万円以上になる場合があります。
法要では僧侶に読経して頂きますが、お布施とは別に僧侶の方へお車代として5千円~1万円をお渡しする場合があります。法要に関してもお車代に関しても、全てはお気持ち次第であるといえるでしょう。
他宗教にもお布施はあるのか
そもそもお布施の『布施』とは仏教で使われる言葉です。キリスト教やイスラム教では言葉が違ってきます。
キリスト教
キリスト教では『献金』といいます。礼拝の席上で集められる献金はお金以外にもあり、その季節に収穫された作物、食べ物、衣服、など様々です。これは教会の維持運営費に充てられるだけではなく、災害地への援助等にも充てられるためです。
神父や牧師にお渡しする献金の金額は、一般的に数万円程度です。これもその人のお気持ち次第である、という考え方によるものだそうです。詳しく知りたい方は地区の教会へ問い合わせしてみるといいでしょう。
イスラム教
イスラム教においても使われるのは『喜捨』です。布施のように財を施す事ではなく、誰に対しても平等で思いやりの心を持った対等な人間関係が前提であるとの考え方から、喜捨とは助け合う事と考えられています。
国によっては収入の何%か支払う事と制度化されているようですが、これは宗教的指導者への謝礼ではなく、貧困者への対策から徴収されています。
まとめ
今回は葬儀や法要における宗派別のお布施の費用相場と、他宗教との違いについてご紹介してきました。簡潔にまとめると下記のようになります。
- お布施とは渡しているのではなく、お供えしている。
- 葬儀でのお布施は、宗派毎・地域毎に差がある。自分の菩提寺がどの宗派に属しているかを事前に知っておくことが大切である。
- 法要でのお布施は宗派毎の違いはあるが、おおよそ3万円~5万円程度を目安としてよい。
- キリスト教では献金、イスラム教では喜捨がある。仏教・キリスト教・イスラム教、それぞれの特色があるので注意が必要
最後に一番大切な事は、お布施とはやはりお供えする方の気持ちであるといえます。故人の冥福を祈る気持ちに金額をつけるのは難しい事ですが、自分のお布施で菩提寺やご本尊を守っていく、先祖代々のお墓を守っていくと考えれば自ずと金額を決められるのではないでしょうか。
全てはお気持ち次第。といっても難しい事ですから、この記事を一つの参考にしてくれれば幸いです。
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