葬儀には、多大な費用がかかります。葬儀費用は、香典の収入だけではとても負担しきれずに持ち出しになる場合もあります。しかも確定申告では控除されません。
なぜなら、確定申告は1年間の所得に課税されるからです。香典の収入といっても、香典はもともと非課税の扱いになりますから、収入ではないものに課税はされません。
課税されないものに対しては税額控除は当てはまりません。でもそれでは結構大変になることもありますよね。何か税金の控除はできないのでしょうか。
あります。それは、遺産の相続税を減らすことで葬儀費用を控除してもらう方法です。では、どのように手続きをすれば葬儀にかかった費用を減らすことができるのでしょうか。まずは、確定申告から見てみましょう。
Contents
確定申告について





確定申告では、葬儀にかかった費用に対して所得税の控除はありません。確定申告は、1年間の所得にかかる税だからです。葬儀の際にいただく香典は、もともと非課税扱いなので、所得税の収入には当たりません。
参考:国税庁|所得区分のあらまし
確定申告は、1月1日から12月31日までの個人の所得を税務署に申告し、税金の過不足を計算し調整して、所得税額を確定するものです。確定申告の期間は、毎年2月16日から3月15日が基本です。(休日などに重なると、日程は調整されます)
亡くなられた日が1月1日から3月15日までの間の場合は、前年の所得税申告と今年度の分の申告が必要になります。確定申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内に相続人が手続きする必要があります。
葬儀にかかる費用で控除されるもの

葬儀費用は、相続税申告の時に税額控除される費用に含まれます。葬儀の費用で控除に含まれるもの、含まれないものについてみてみましょう。
葬儀費用となるもの
1.遺産相続から差し引く葬式費用は、通常次のようなものです。
(1) 葬式や葬送に際し、又はこれらの前において、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用(仮葬式と本葬式を行ったときにはその両方にかかった費用が認められます。)
(2) 遺体や遺骨の回送にかかった費用
(3) 葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用(例えば、お通夜などにかかった費用がこれにあたります。)
(4) 葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用
(5) 死体の捜索又は死体や遺骨の運搬にかかった費用
2.葬式費用に含まれないもの
次のような費用は、遺産総額から差し引く葬式費用には該当しません。
(1) 香典返しのためにかかった費用
(2) 墓石や墓地の買入れのためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用
(3) 初七日や法事などのためにかかった費用
引用:国税庁|相続財産から控除できる葬式費用
葬儀にかかる費用で相続税の控除費用となる項目
(1)葬式や火葬、埋葬などにかかった費用
死亡診断書料、役所の火葬許可証発行手数料、火葬料、埋葬許可証の発行手数料、埋葬料、納骨費用などが含まれます。
(2)遺体や遺骨の回送にかかった費用
海、山、河川、湖沼、災害、事故などで亡くなった場合に、一時的に死亡原因調査のため現地の病院や警察の施設、遺体安置所などに収容されたのち、自宅などへの搬送許可が出て、搬送するための費用です。
(3)葬式の前後に生じた費用で通常葬式に欠かせない費用
遺体のメイク、エンバーミング、祭壇飾り、喪主の献花代、受付で使用する文房具・帳簿類代、通夜・葬儀の飲食費、葬儀スタッフへの心づけ(領収書は貰えないので渡した人の人数と金額をメモ(記帳)しておく)、霊柩車の使用量やマイクロバスなどをチャーターした場合の料金、受付係への謝礼(領収書は貰えないので渡した人の人数と金額をメモ(記帳)しておく)などです。
その他に、通夜から葬儀にかかった費用など支払いが発生したものについては領収書は必ず受け取り相続税申告まで保管しておくことが必要です。また、葬儀社などを利用した場合も、明細を記入した見積書と領収書を相続税申告まで大切に保管しておくことが必要です。
(4)葬式に当たり寺院への読経料類のお礼をした費用
御布施、読経料、戒名料、卒塔婆代、お車代、御膳料、お土産代(通夜返し、香典返しなどと同じ物を使った場合は費用控除されません。別なものを用意した場合、単独の領収書が必要になります)などの費用です。
(5)死体の捜索又は死体や遺骨の運搬にかかった費用
海、山、河川、湖沼、災害、事故などで亡くなった場合の捜索費や現地で荼毘に附した場合の遺骨の搬送の費用、亡くなられた病院などから、自宅または葬儀社の葬儀会場までの搬送及び自宅へ搬送した場合は、自宅から葬儀会場までの遺体搬送費用です。
相続税の控除対象とならない費用とは
(1)香典返しにかかった費用
香典は、非課税なので通夜返し、香典返しの品代は葬儀費用の控除対象には含まれません。
(2)墓石や墓地の買い入れのための費用や、墓地を借りるための費用
墓地・墓石の購入費用は非課税なうえ、葬儀とは直接関係がないので、相続税の課税対象にはならず控除対象にもなりません。初七日や、法事等の費用も葬儀とは直接かかわりがないので、控除対象とはなりません。
参考:国税庁:相続財産から控除できる葬式費用
相続税について

必要な手続き
相続税の申告と納税期限は、故人が死亡し相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に申告書を提出します。さらに被相続人(亡くなられた人)の住所を管轄する税務署にも相続税の納税申告書を提出するとともに、納付税額(相続税)が算出(控除額を超えて、納税をする必要な金額)された場合は、超えた分を納税しなければなりません。
相続税は、被相続人から相続によって財産を取得した場合に、取得した財産に対して課税される税金です。相続税がかかるのは相続した財産のうち、金融財産(預貯金、株式、投資信託、国際、外貨預金・投資等)海外資産、国内不動産(家・土地)動産(車、バイク)などです。
みなし相続財産(生命保険の死亡保険金、死亡退職金)は、(「500万円×法定相続人数まで非課税)財産に含めます。
相続税の申告が必要な人は、被相続人(故人)から相続した財産額(課税対象とならない財産も有ります)が、課税対象となる財産から控除できる債務(借入金や家のローンなど)と、葬儀費用の合計額を引いた金額が、「遺産にかかる基礎控除額」を超える場合、財産を取得した人は相続税の申告をする必要があります。
相続のできる範囲
では相続を受ける資格があるのはどこまでになるのでしょうか。民法では、相続人の範囲と相続順位について次のように定められています。
1.被相続人の配偶者は、常に相続人になります。
2.相続人になる人は、次の順序で配偶者と共に相続人になります。
【第1順位】被相続人(故人)の子(子が被相続人(故人)の相続開始前に死亡している時は、孫(直系卑属))が相続人になります。
【第2順位】被相続人(故人)に子や孫(直系卑属)がいないときは、被相続人(故人)の父母(父母が被相続人の開始前に死亡している時などは、被相続人(故人)の祖父母(直系尊属))が相続人になります。
【第3順位】被相続人(故人)に子や孫(直系卑属)も父母や祖父母(直系尊属)もいない時は、被相続人(故人)の兄弟姉妹(兄弟姉妹がが被相続人(故人)の相続開始前に死亡している時などは、被相続人(故人)の甥、姪(兄弟姉妹の子)が相続人となります。
参考:コトバンク 直系尊属・卑属

引用:国税庁 相続税のあらまし
*「法定相続人の数」は、相続人の放棄をした人があっても、その放棄がなかったものとして相続放棄をした人を含めた相続人の数を言います。被相続人に養子がいる場合には、法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいるときは1人、(実子がいないときは2人)までとなります。
引用:国税庁 相続税のあらまし





まとめ

葬儀にかかった費用は、確定申告では費用控除できませんが、相続税申告の時に葬儀にかかった費用は、相続財産総額から控除されます。
相続税の申告をする必要がある、なしは国税庁HPの相続税のページの相続税要否判定コーナーで判定することができますので、利用してみてはいかがでしょうか。
また、相続税申告は難しいので、税理士さんにお願いしてみようという方は、税理士情報検索サイトで探すことができます。
最初にも言いましたが葬儀には多額の金銭的負担が伴います。かかった費用の内訳を今一度確認すると共に、内訳を整理して相続税の軽減を図ることが賢い節税方法になります。この記事がそのお役に立つことができれば幸いです。
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