-突然ですが、お葬式でお焼香をしたことはありますか?もしかしたら、「法事では経験があるけどお葬式はない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私が以前お葬式でお焼香をした時、どんな順番でお焼香が進んでいるのかが分からず、「自分のせいで後ろがつかえて式を中断させてしまったらどうしよう」「いつ来るのかな、次?もっと後?」と終始ソワソワしていました。下調べも何もせずに参列したので、周りの人が何をしているのか観察するのに必死でした。
当時はまだ子供だったため両親についていけばよかったものの、もしも大人で同じような状況になっていたらと考えると本当にぞっとします。立派な成人がマナーも分からず、知らず知らずのうちに失礼なことをしてして遺族に不快感を与えたりすることは避けたいですよね。
お焼香でのあることをきっかけに、参列者間でトラブルが起きることも少なくありません。トラブルを回避し、不安なくお焼香を済ませて心から故人を偲ぶためにも、お焼香のやり方やマナーを把握しておきましょう。
こんな方におすすめ
- お葬式でのお焼香のやり方を教えて!
- お焼香のマナーってなに?
- お焼香のやり方に違いがあるってほんと?
このような疑問を解消するのに役立つ記事となっています。
知っておいて損はないお焼香のやり方を早速見ていきましょう。
Contents
お葬式でのお焼香マニュアル【3種類】



基本のやり方に加えて、宗派によって抹香を落とす回数などが変わってきます。宗派による回数の違いは次の項目でご紹介します。
①最も多い「立礼焼香」
最も一般的とされている、立ったまま行う立礼焼香の手順です。こちらが全てのお焼香のベースとなるので、まずはこのやり方を覚えておくことをおすすめします。
- 前の方が着席したタイミングで席を立ち、焼香台の前に移動
- 焼香台の少し手前で遺族と僧侶に一礼(または合掌)
- 焼香台に一歩近づき、遺影に一礼
- 数珠を左手にかける。
- 右手の親指、人差し指、中指の3本で抹香をつまむ。そのまま頭を軽く下げて、額の前にかかげる。
- 指をこすりながら、抹香を静かに香炉の炭の上に落とす。これを1〜3回繰り返す
- もう一度遺影を見て合掌する。
- 合掌後、一歩下がり遺族に一礼して席に戻る
つまんだ抹香を額の高さでかかげることを、「おしいただく」といいます。このおしいただくという動作と、抹香を香炉に落とす回数は宗派によって変わって来ます。
引用 小さなお葬式
②座礼焼香
会場が畳の場合によく行われるやり方です。お焼香自体のやり方は、立礼焼香と変わりませんが、移動の仕方が少し変わってくるので注意しましょう。
- 順番が来たら立ち上がらずに中腰で前に進み、座布団の手前で一度座ります。
- ご遺族に一礼した後、祭壇の遺影に向かって一礼します。
- 立ち上がらずに膝で焼香台まで寄り、座布団に正座した後合掌します。
- 3本の指で抹香をつまみ、香炉の中へ落とします。
- 宗派ごとのやり方に従って、これを1回~3回繰り返します。
- お焼香が済んだら合掌をします。
- 祭壇の前から下がり、遺族に一礼してから立ち上がって戻ります。
引用 小さなお葬式
③回し焼香
こちらは座席から移動することがない方法です。香炉を置く場所は、椅子席の場合は自分の膝の上、畳の場合は自分の前に置きます。
- 香炉が回ってきたら、軽く礼をして受け取ります。
- 香炉を自分の前(もしくは膝の上)に置き、祭壇に向かって合掌します。
- 3本の指で抹香をつまみ、香炉に落とします。
- 宗派ごとのやり方に従い、これを1~3回繰り返します。
- お焼香が済んだら、合掌してから一礼します。
- 次の人に香炉を回します。
引用 小さなお葬式
宗派による回数の違い
お焼香に対する考え方は同じ仏教でも宗派によって少しずつ違うため、それぞれ抹香をおしいただく回数などが変わってきます。



宗派ごとのおしいただく回数
宗教 | おしいただく回数 | お線香の場合の本数 |
真言宗 | 3回 | 3本 |
天台宗 | 3回 | 3本 |
浄土宗 | 自由 | 1本 二つ折りにして立てる |
浄土真宗本願寺派 | × そのまま香炉に1回 | 1本 二つ折りにして寝かせる |
浄土真宗大谷派 | × そのまま香炉に2回 | 1本 二つ折りにして寝かせる |
曹洞宗 | 1回目 〇 2回目× | 1本 |
日蓮宗 | 1~3回 | 1~3本 |
日蓮真宗 | 3回 | 1~3本 |
日蓮正宗 | 3回 | 1~3本 寝かせる |
臨済宗 | × そのまま香炉に1回 | 1本 |
友人葬(創価学会) | 3回 | 1本 寝かせる |
特別に信仰する宗派がない方は、できる限り故人を尊重するほうが良さそうです。宗派を確認する余裕があれば、喪主や遺族にあらかじめ聞いておくことをおすすめします。そうすれば、安心してお焼香を行い故人をとむらうことができます。


お焼香の順番

実は、お焼香をする順番にも、決められたルールがあります。私は中学生ぐらいの年でお葬式に参列した時、「なんでお母さんよりも私が先にやるの?」など疑問に思ったことがあります。なぜなら、この順番は年功序列ではなく、「故人と関係の深い人順」に行うのがマナーだからです。
お葬式では、マナーや作法をかなり気にする方も多く、この順番がお葬式後にトラブルになることも少なくありません。しっかりと正しい順番を把握して、トラブルを回避しましょう。


お焼香の大まかな順番
お焼香を行う人や人数によって、大まかなブロックに分けて行う場合もあります。大きなお葬式の場合、故人が勤めていた会社の社員さんが参列することもあり、大人数がお焼香をすることになります。グダグダになってしまわないよう、まずは大まかな流れを把握することが大切です。
ブロックは主に3つに分けることが出来ます。
- 親族焼香 → 喪主や親族
- 指名・来賓焼香 → 故人に関係のある会社や企業、町内会関係者
- 一般(自由)焼香 → 故人の友人・知人
この、大まかに分けた中でもお焼香をする順番を決めなくてはいけません。次の項目では一般的な順番をそれぞれご紹介します。
①親族焼香の順番

なんだかんだ言って、一番気を遣うのがこの親族の順番かもしれませんね。揉めたりすることのないよう、こちらでは最も一般的な順番をご紹介します。
また、地域や風習によって順番が多少変わることもあるので、心配な方はご親族の方と話し合って決めてください。喪主が中心となり「親族内で発言権の強い人」と一緒に順番を決めていくとスムーズに進みます。
- 喪主(故人の長男や長女、配偶者)
- 故人の配偶者、両親
- 喪主の配偶者
- 喪主の子ども
- 喪主の兄弟姉妹やその家族
- 故人の兄弟姉妹
- 故人の配偶者の親戚
- 喪主の配偶者の両親
- 喪主の配偶者の兄弟姉妹
- 喪主のいとこ
基本的には、いとこや同じ家族の中では年長順に行うようにします。
葬儀委員長とは、お葬式の手配や指示の中心となる人物のことです。喪主は故人の長男、長女が担うことが多いのに対し、葬儀委員長は町内会長等が担う場合があります。葬儀委員長がいる場合は、親族焼香よりも前、つまり一番最初にお焼香をするのがマナーです。
②指名・来賓焼香の順番

故人が生前に関係した会社の代表者や社員だけではなく、議員や、町内会の方々をお葬式の来賓として指名して行う、「指名焼香・来賓焼香」と呼ばれる焼香を行うことがあります。これは、故人とご家族が生活している地域や、故人の生前の交流範囲によって、やるかどうかは変わって来ます。
お焼香で指名する方や順番は、お葬式の主催者である喪主・遺族が自由に決定することが出来ます。しかし、生前の故人との交流が深かった方を優先して順番を決めるようにしましょう。また、会社関係者の方は肩書で順番を決めるので、こちらの順番は悩まなくても良さそうです。
故人と関係のある会社や団体等に所属する社員全員が焼香を行うと、告別式の時間が長時間になってしまうため、代表者を立てて焼香を行うことが一般的です。

③止め焼香
止め焼香とは、主に西日本地域で行われており、親族間・参列者間でのトラブルを避けるための方法です。せっかくの故人を偲ぶ場で見苦しい言い争いなどは起こしたくありませんよね。止め焼香を行うことにより、「参列者全員が平等である」という主張になるので、トラブルが起きにくくなります。
止め焼香を行う場合は、あらかじめお願いする人を親族から一人選んでおきましょう。ここで注意したいのが、故人が女性の場合は、嫁ぎ先の家から優先的に止め焼香する代表者が選ばれるということです。


では、止め焼香の順番を3パターンに分けてご紹介します。
- 喪主・親族焼香
- 親族の代表者(止め焼香)
- 参列者
この方法では、「親族間の順位不同」という意味を表します。
- 喪主・親族焼香
- 参列者
- 親族の代表者(止め焼香)
この方法では、親族が参列者の後にお焼香をすることで、「参列者の順位不同」という意味を表します。
- 喪主・親族焼香
- 参列者
- 指名焼香(会社や団体の代表者ひとりに、代表焼香としてお願いする)
この方法も②と同じく、参列者間の順位不同ということを表します。
完全にトラブルを回避したい方は
すでにご紹介した順番や、止め焼香を行うなどの対策はもちろんですが、それでもまだ不安が残る方は「焼香順位帳」というものを作成することをおすすめします。
焼香順位帳とは、お葬式に参列する方のお焼香の順番を記録しておくものです。参列する方が分かった時点でお焼香の順番を決め、親族、各団体代表、来賓の方の名前を書きだして「焼香順位台帳」を作成します。
この焼香順位帳は、遅くてもお通夜までに作成しておくとスムーズにお葬式の準備に取りかかることが出来ます。この焼香順位帳の順番にしたがって、お葬式の席順を決めます。
お焼香をする時のマナーは?
お焼香を行う際にはマナーにも注意しなければいけません。故人のためにも、失礼のないようにマナーを把握しておくことが大切です。
①喪主や遺族への挨拶
会場に到着し遺族の方にお会いしたらまずはご挨拶をします。「この度はご愁傷さまです」のようなお悔やみの言葉というものを伝えます。
普段とは違う状況なので緊張してしまったり、言ってはいけないことを言わないかどうかと必要以上に構えてしまったりします。
お悔やみの言葉はこれだけではないので、自分に合った言い方をあらかじめ考えておくと安心です。使ってはいけない言葉もあるので、あらかじめ把握してから参列するようにしましょう。
②服装や身だしなみ

葬儀に参列する際は、基本的な決まりとして、ブラックフォーマルや喪服を着用します。派手な色のものは厳禁で、靴下や靴の色も黒色で統一された物を選びましょう。
服の色や柄だけでなく、髪を束ねたりネクタイを真っすぐ付けるなど、清潔な見た目を意識しましょう。派手な髪色の場合は、スプレーの髪染めなどで黒染めしていくと安心です。
③手荷物
お焼香をする時は、手荷物を持っていることがほとんどだと思います。小さな荷物の場合は、脇に挟むか、左手を持ち手に通してお焼香します。焼香台にスペースがあれば、置いても大丈夫です。
焼香台の前に手荷物置きが用意されている場合は、そこに荷物を置くようにしましょう。また、大きすぎる荷物はクロークに預けるか、クロークがない場合は自分の座席の足元に置いてお焼香を行ってください。
④数珠

お焼香は、数珠を手に持って行うことが一般的です。もし今手元にない場合は、当日に間に合うように用意しておきましょう。
正式な数珠は108個の「主玉」と呼ばれる玉をつないで作られていて、人間の108つある煩悩を、主玉一つ一つに司る仏さまが代わりに引き受けてくれると言われています。この数珠を身に着けることは、お守りのような意味があるのです。
数珠には、大きく分けて二つの種類があり、「本式数珠」と呼ばれる宗派ごとの正式な数珠と、「略式数珠」と呼ばれる大体の宗派で使える数珠があります。
まだ数珠を持ってない方は遺族に確認をとり、宗派に合った本式数珠を用意できると安心です。もちろん、すでに持っている方は略式数珠でなくても、手持ちの数珠を持参すれば問題ありません。また、数珠はお守りのようなものなので貸し借りはNGです。急な知らせでどうしても数珠が用意できない場合は、なしで参列しましょう。
数珠は基本的に左手で持ちます。
- 持って移動するとき→房を下にして持つ
- お焼香をするとき→左手にかけて合唱をする、または合わせた両手にかける
お焼香ってなに?意味は?

お焼香とは、お葬式や法事の場で、故人や仏様へ向けてお香を焚き拝むことです。お葬式でお焼香をすることは、仏教における供養の一つです。
もしかしたら、いい匂いのするお香はご自宅で焚いたことのある方もいるのではないでしょうか。私の友人は、「癒やし効果があるから」とよく自宅で焚いているそうです。遊びに行った時は、玄関先からお香のいい香りがします。
ほとんどの場合、お葬式で使われるお香は「抹香」という細かく砕いた木片のお香です。炭の上に、この抹香をパラパラとかけてお焼香します。


お焼香の意味① 匂い
まず一つめは、ご自宅でたくのと同じように「匂い」を立たせる為です。
お香の匂いには、お参りする人の心身の穢れ(けがれ)を落とす効果があると言われています。穢れを落とし、清らかになった心身で故人と仏様に敬意と感謝の心を捧げるという意味があります。
また、仏教では四十九日までは「匂い」が故人の食べ物だと言われています。故人がお腹を空かさないよう、「食べてください」とお供えの意味も込められています。
お焼香の意味② 煙
2つ目は、「煙」を立たせるためです。
仏教ではこの世に生きている人間と、あの世の故人とは、煙を介してコミュニケーションをとると考えられています。そのため、お葬式などのお別れの儀式やお盆など、故人の魂が帰って来るタイミングでは重要視されます。


お焼香の意味③ 極楽浄土のそよ風

3つめは、極楽浄土を表現するためです。お焼香の香りによって、「仏様の住んでいる極楽浄土」を頭に思い浮かべることができます。その香りが隅々まで広がり、すべての人に平等に行き渡ることは、仏教の教えが広がることを意味します。また、仏様の慈悲を讃えるためのものともいわれています。


お焼香?お線香?

お葬式以外では、お仏壇やお墓の前ではお線香をあげますね。実はこのお線香をあげるという行為も、「お焼香」に含まれます。しかし、一般的に「お焼香」というと、お葬式でお香を焚く行為をイメージが強く、多くの人は「抹香」を想像します。したがってこの場合は、「お線香をあげる」という言い方が分かりやすくイメージに合っています。
また、お焼香はお葬式の途中にお供えしますが、お線香は式が始まる前にお供えすることも覚えておきましょう。言い方は違っても、お線香をあげることは「お焼香」と同じ意味合いを持っていることを覚えておくと良いでしょう。
お焼香をする→抹香を使って、式の途中にお香を焚く場合
お線香をあげる→式の前に、抹香ではなくお線香に火をつけてお供えする
二つの言い方を使い分けると分かりやすい。
お焼香にも種類がある
ひとくくりにお焼香といっても、実は3種類のやり方があります。会場の規模や参列者の人数によってやり方が変わるので、不安な方は事前に遺族の方に確認を取っておくと安心です。


①立礼焼香
立ったままお焼香を行う方法です。用意されている席が椅子の場合は、この方法で行われることが一般的です。自分の順番がきたら、席から立ち上がり焼香台へ向かい、立ったままお焼香を行います。
②座礼焼香
和室や小規模な会場などでお葬式が行われる場合は、この方法が一般的です。焼香台は座った時の高さに調整されているので、座ったままお焼香を行います。
自分の順番が来たら、基本的には立ち上がらず焼香台まで移動し、正座でお焼香をします。
③回し焼香
自宅など、さらに小規模な会場でお葬式が行われる場合に使われる方法です。狭い場所でたくさんの人が移動することは難しいため、香炉と抹香を乗せたお盆などを参列者で回して、お焼香をします。お盆に乗った香炉と抹香が隣の人から回ってきたら、軽く会釈しながら受け取ります。そして焼香を行って次の人へ回す、というのが流れになります。
【番外編】実用的なお焼香の使い方!?
お焼香で用いられる香木は、もともとはインドから伝わってきたものです。



インドは高温多湿の酷暑のため死体が腐りやすく、その臭いが問題となっていました。そこで、その悪臭を取り除くためにお香を焚いていたと言われています。
これが仏教の供養にも取り入れられ、日本や中国に伝わったとされています。お通夜では故人に寄り添って一晩中お香を絶やさないという習慣がありますが、お香を焚き身内で故人の思い出を語り明かす以外にも、遺体の臭いを抑えるものとして実用面でも重宝されました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。お焼香の順番や数珠のマナーは、意外と知らないことも多かったのではないでしょうか。
- お焼香には意味がある
- 3種類のスタイルがある
- 宗派によっておしいただく回数が違う
- 順番は喪主が決めれる
- マナーを把握しておく
宗派ごとの細かいやり方やマナーなどたくさんありますが、絶対にこのやり方に従わなければいけないという決まりはありません。故人のために、心を込めてお焼香をすることが何よりも一番大切です。回数を間違えてしまったり、多少やり方が間違っていても問題ありません。
最低限知っておくべきやり方やマナーを把握し、少しでも不安をなくして参列することが、心から故人を偲ぶことへとつながります。ぜひこの記事でやり方を覚えて、当日スムーズにお焼香を行えるようにしてくださいね。
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