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相続放棄するorしない

相続放棄とは、相続の権利を放棄して、財産をすべて受け取らないことをいいます。
ですが、当然のことながら、相続したほうがいいのか、しないほうがいいのか、よく考えてから決定したほうがいいです。
なぜなら、相続放棄は一度行ってしまうと、やり直しができないからです。
簡単な方法としては、紙にプラスなものとマイナスなものを書き出していきます。
●プラスなもの===== 生命保険・家・土地・預貯金など
●マイナスなもの===== 借金・連帯保証人・税金の滞納など
プラスとマイナスをたして、ひくと、最終的にプラスかマイナスかが出てくるので、マイナスであれば相続放棄したほうがいいです。
と、ここで気を付けなければいけないことがあります。上記のプラスとマイナスは、突き詰めていくと、逆転する可能性があるからです。
まず、マイナスなものから見ていきます。
サラ金(消費者金融)にお金を借りている、もしくはそういう人の連帯保証人になってしまった場合
普通に考えたら、すぐにでも相続放棄したいと思ってしまうところですが、ここでひと呼吸おいてください。
相続放棄する前に、「過払い金」がないか確認してください。
借金をしていた人が亡くなった後でも、過払い金は返還請求することができます。
ただし、完済した日から、10年以内の手続きが必要です。
消費者金融から借り入れをしている方が死亡した場合、消費者金融業者から、債権放棄の書面が送られてくることがあります。
この時は、過払い金が発生している可能性が高いです。内容をきちんと確認し、必要なら弁護士さんや司法書士さんなどに相談して調査してもらうことを勧めます。
所得税、固定資産税については、相続放棄したほうがいいです。
死亡した年の所得税を払う必要がなくなるし、生前に滞納していたとしても、代わって支払う必要もなくなります。
固定資産税について、1月1日の時点で、相続放棄が認められていなければ、納税に関する通知が送られてきます。
そこで税金を少しでも払ってしまうと、相続したとみなされてしまうので注意が必要です。
国民健康保険は世帯主に支払い義務があるので、相続人である世帯主が相続放棄しても、国民健康保険料は支払う必要性があります。
あと、考えられるのは、他の相続人と関わりたくない場合です。
面倒だからと、その場で相続放棄するといって、相続放棄できたと勘違いする人がいます。相続放棄するためには、管轄する家庭裁判所への必要書類の提出が必要です。
プラスなものについて、土地や家、いわゆる不動産に関しては、プラスにもマイナスにもなるので気をつけます。
土地や家が今現在、住んでいる場所であるのなら、相続放棄する必要はないですが、全く使っていなくて草が生え放題の土地や、誰も住んでいなくて荒れ放題の家に関してはマイナスといえるでしょう。なぜなら、どんな場所でも、固定資産税を払い続けなければならないからです。
それが嫌なら、相続放棄してください。仮に何人かいたとしても、個々が裁判所に申し立てする手続きのため、自分一人でも手続きすることは可能です。ただ気を付けたいのは、他に相続人がいた場合、残りの人たちに支払いの義務が発生してしまうので、相続放棄することをきちんと連絡してあげることが、トラブル回避にも繋がります。
ここで、最も重要なのが、相続放棄することで、固定資産税は払わなくてもいいけど、次の管理者が決定するまで、管理義務は残っているということです。
“「第940条
相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。
2以下略」”相続放棄後も他の相続人の誰かが相続しない限り、その土地は被相続人(亡くなった人)の名義のままです。そして、相続放棄が認められて固定資産税を支払う義務からは逃れられても、次の引継ぎ先や管理者が決まるまでは放棄した不動産の管理義務は、そのまま残るのです。
例えば放棄した建物が空き家となり放置していた場合、老朽化し倒壊して近所へ迷惑がかかるかもしれませんし、何らかの事故が起きて責任を問われ、損害賠償請求を受ける可能性もないとは言えません。この条文についての過去の裁判例は少なく、どういった範囲で責任を問われるのか、まだよく分からないというのが実情のようです。
とても怖い話ですね。
引用:相続放棄相談センター|相続放棄の基礎知識


ただし荒れ地の場合でも、稀にお金になっていることがあるので、注意が必要です。友人の場合、荒れ地に電柱が立っていたために、1年にいくらかお金が振り込まれていたんです。親のことだったので最初は気づきませんでしたが、通帳を調べていて気づいたんです。
借金についても通帳を調べてみると、ある程度わかるはずです。
預貯金については、相続放棄した場合、もらうことはできないです。しかし、死亡保険金や死亡退職金、遺族年金は相続放棄したとしても、受け取ることは可能です。
※全額、相続税の課税対象となります。
今までの説明を考慮した上で、プラスかマイナスかを判断してください。
マイナスならば、相続放棄を選択します。
基本的な原則として、相続放棄は相続の開始を知った時から、3ヶ月以内と決められています。
相続放棄するなら、慎重かつ、早めがベストです。間違えやすいのが、被相続人が亡くなってから3ヶ月以内と勘違いする人がいますが、あくまでも、そのことを知った日から3ヶ月以内です。
相続放棄の流れとは
具体的に相続放棄の流れについて見ていきます。
①必要書類を集める
相続放棄申述書
相続放棄の手続きに必要な相続放棄申述書は、家庭裁判所でその用紙を手に入れることができます。
相続放棄申述書の形式は全国共通なので、実際に手続きを行う家庭裁判所以外の家庭裁判所でも入手することが可能です。
※相続人が20歳以上の場合と20歳未満の場合で記入の仕方が違うので、注意してください。
相続を放棄する人の戸籍謄本
最寄りの市町村役場で取得できます。1通あたり、350円~700円の手数料がかかります。
被相続人の戸籍謄本(被相続人の死亡の記載のあるもの)
被相続人が最後にいた本籍地の市区町村役場で取得できます。相続人が申請するため、遠方の場合もあります。その時は郵送も可能です。
1通あたり、450円~750円の手数料がかかります。枚数は複数枚になります。
その時「出生から死亡までの戸籍謄本を取得したい」とひと言付け加えると確実です。女性の場合は特に、結婚などで居場所が変わるため、出生から死亡までの戸籍謄本を取得するのはとても大変です。
取り寄せる際には、相続人の戸籍もしくは附票の写し・身分証明書等請求書(郵送請求用)を市区町村役場で取得し、必要事項を記入の上、手数料を同封(無記名のゆちょ銀行の小為替)、返信用封筒に住所、氏名を記入し、切手を貼ったもの、請求者の身分証明の写し(運転免許証、マイナンバーカード、健康保険の被保険者証、年金手帳など)をひとまとめにして、本籍地の市区町村役場の戸籍係に請求します。
取り寄せには、1週間ほどの時間を要します。
※申請する時、謄本と抄本を間違えないようにしましょう。なお、相続放棄する人の戸籍に被相続人の記載があって、死亡したことがわかれば、提出書類は1通で構いません。
被相続人の住民票の除票
被相続人が最後にいた本籍地の市区町村役場で取得できます。
これは、被相続人の最後の住所を管轄する家庭裁判所に書類を提出する必要があるためです。
1通350円程度の手数料がかかります。 代用:被相続人の戸籍除票でも可能
収入印紙
800円分の収入印紙が必要です。コンビニや郵便局で購入することが可能です。
これは、相続放棄するための手数料で、相続放棄申述書に貼ります。
※注意としては、契約書や領収書のように、印紙を消印(印紙の端に印鑑を押すこと)してはいけません。
郵便切手
家庭裁判所から郵便で通知を送る時に必要です。
切手の金額はそれぞれの家庭裁判所によって違いますが、数百円程度で大丈夫です。
以上が基本的なことになりますが、被相続人との関係によっては、更に書類が必要です。
●被相続人の孫
被代襲者の死亡の記載がある戸籍謄本 1通 350円~700円の手数料がかかります。
※被代襲者とは、ここでは、孫の親のことです。孫が相続人になるということは、その親は亡くなっているということなので、それがわかるものを提出する必要があります。
●被相続人の父母(直系尊属)
被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本 1通750円ですが、枚数が何枚あるか、それぞれ違うので表示を避けます。
第1順位の相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
※第1順位の相続人がすべて亡くなっているか、相続放棄したかに限られます。
●被相続人の兄弟・姉妹
被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
第1順位の相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
被相続人の直系尊属の死亡の記載がある戸籍謄本
※第2順位の相続人がすべて相続放棄した時は、被相続人の直系尊属の死亡の記載がある戸籍謄本は要りません。
②書類を提出する
被相続人が最後に住んでいた場所を管轄する家庭裁判所に提出します。
(必要書類はすべてを揃えて、一緒に提出すること)
※遠方の場合=====郵送可能。ただし、普通郵便ではなく、書留郵便で発送したほうがいいです。(到着確認のため)
途中で一度でも失敗をしてしまうと、相続放棄できなくなります。書類を提出する時は、細心の注意をはらってください。
提出した書類は返還不可なので、必要な場合はコピーを取っておいてください。
提出先の家庭裁判所は相続人が住んでいるところを管轄する家庭裁判所ではないことに注意してください。
※裁判所ウエブサイトの「裁判所の管轄区域」のページから調べられます。
③照会書に記入、返送する
裁判所に書類を提出すると、裁判所から照会書が届きます。回答書に質問に対する答えを記載して、返送する必要があります。
内容としては、相続放棄は真意に基づくものか、相続開始を知った日はいつか、相続財産にはどのようなものがあるかなどです。
背景などをきちんと説明しないと、認められないこともあるので、注意します。
④相続放棄受理通知書を受け取る
提出した書類に問題なければ、1~2ヶ月で、相続放棄受理通知書がきます。通知書が届けば、手続きは完了です。
※この通知書は一度しか送付されず、再発行もされないので、大切に保管しましょう。
不受理の場合でも、相続放棄不受理書が届きます。申請は一度しかできないので、不受理になると、相続放棄はできません。



気になるポイントは?
●生前に相続放棄はできません。
どんなに相続を放棄したくても、生前贈与はあっても、生前放棄はないのです。
僕の友人は正にこれで、生前贈与があるくらいだから、生前放棄もあると思ってしまったんです。その時は、父親が多額の借金をしていて、いつも借金取りに追い立てられている姿を見ていたから、そうなりたくないと思った。その気持ちは理解できるんだけど、認められることはなかったです。

●先に遺産を処分してしまったら、相続放棄はできません。
これもあり得るパターンで、例えば預貯金を取り出して分けてしまうとか、亡くなる前に生前贈与で土地や建物をもらっているとか、そういう場合はダメです。少しでも何かもらった時点で、それは「相続した」と見なされて、相続放棄はすることができないです。


単純承認と限定承認
単純承認=相続をするという意思表示のことで、普通の相続を指します。
限定承認=プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐ方法です。
マイナスの財産がラスの財産より明らかに多い場合や、3ヶ月以内ですべてが調べきれず、後からマイナスの財産が出てきそうな時にはいいと思います。でも実際には手続きがとても大変だったりするし、他の相続人が相続放棄してしまうとできなくなるなど色々とあるので、お薦めはできません。


●一度しかチャンスのない相続放棄を撤回することは、原則として不可能です。
相続放棄しようと思う時は、すべての事柄について慎重に詳しく調べた上で、判断をすることが大切です。
●相続人全員が相続放棄の手続きをした場合には、その財産は国のものになる。
これも仕方のないことですが、相続人全員が相続放棄をして、誰もいなくなってしまったら、その財産はすべて国のものになります。
●相続を放棄した人の子供に、代襲相続することは認められていません。
相続を放棄した時点で、相続人としての権利はなかったものと見なされるので、当然その子供についても、相続人としての権利はありません。


まとめ

相続放棄はプラスとマイナスの財産について、しっかりと調査した上で結論を出すことが大切です。
相続放棄はそのことを知った日から、3ヶ月以内に行います。書類の提出は一度きりしかありません。失敗してもやり直すことはできません。
※相続関係によっては他にも書類が必要です。
②書類を提出する。
被相続人が最後に住んでいた場所を管轄する家庭裁判所に提出します。
※郵送可能。ただし、書留郵便にします。
③照会書に記入、返送します。
④相続放棄受理通知書を受け取ります。
人生の中で、おそらく文字通り一度きりの手段であり、チャンスであると思います。
限られた時間の中で、決定することはとても大変なことではありますが、より良い方向を模索して、手続きをしてくれたらと思います。
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