- 借金を相続したくない
- 相続を巡ってややこしいことに巻き込まれたくない
- 家業を継ぐ長男に相続を集中させたい
相続放棄は、一般にこのような時に選ばれる手続きです。では、裁判所に相続放棄を申し入れるには、具体的にどのような書類を用意すればいいのでしょう?
今回は、相続の開始から裁判所への申し入れまでに用意する書類と、その取得方法をまとめました。
相続放棄に必要な書類
最低限必要な書類は下記の通りです。取得方法については、1つずつご説明していきます。
①自分の戸籍謄本
②相続放棄申述書
③被相続人の住民票除票
④自分が相続人であることを証明する為の全ての戸籍
①自分の戸籍謄本
戸籍謄本は、住民票と違って、住所地ではなく『本籍地』の役所で取得できます。裁判所への申し入れに必要である他、亡くなった方の戸籍を集める上で必ず必要になる為、一番初めに取得することを強くお奨めします。
現住所と本籍地が遠い場合などは、郵送やコンビニ交付などを利用するといいでしょう。
戸籍証明書には、『戸籍謄本(全部事項証明書)』の他に『戸籍抄本(個人事項証明書)』というものがあります。戸籍謄本は戸籍情報が全て記載された書類で、戸籍抄本は戸籍内の情報が一部分のみ記載された書類です。相続手続きにおいては、必ず『戸籍謄本(全部事項証明書)』を取り寄せてください。
戸籍謄本を郵送で取り寄せる方法
- 戸籍交付申請書(各市区町村のホームページでダウンロード出来ます)
- 請求者の本人確認書類(免許証やマイナンバーカード)のコピー
- 戸籍謄本の発行手数料(450円)※郵便局で定額小為替として用意します。また、往復の送料が別途かかります。
- 返信用封筒と切手
↑これらをまとめ、当該市区町村の役所に送ってください。※手元に返送されて来るまで、通常、約1週間~10日前後かかります。
戸籍謄本をコンビニ交付で受け取る方法
戸籍謄本は、自治体によってはコンビニのマルチコピー機で発行してもらうことも可能な場合があります。
コンビニ交付に対応している自治体は、下記のページで確認出来ます。
- 利用時間:(6:30~23:00)12/29~1/3を除く
- 必要なもの:マイナンバーカード・交付手数料
尚、コンビニ交付を利用するには、事前に本籍地の市区町村へ、利用登録申請を行う必要があります。利用登録申請もコンビニのマルチコピーで出来ますが、申請が受理されるまで数日かかる場合があります。利用登録が無事に完了したかどうかは、下記サイトにて確認することが出来ます。
↑ステータスが「利用可能」になっていれば、コンビニ交付が利用出来ます。
相続放棄申述書
相続放棄申述書は、『私は相続を放棄します』と宣言する旨の書面です。この書面は裁判所ウェブサイトからダウンロード出来ます。印刷したら、フォーマットに従い、800円の収入印紙を貼り、太枠の中に必要事項を記入してください。
リンク/相続放棄申述書をダウンロードする(裁判所ウェブサイト)
『申述人』:申述人は、相続放棄をする張本人です。
『被相続人』:被相続人とは、『遺産を残した方』を指します。遺産を受け取る方が『相続人』ですので、間違えないように注意しましょう。
『法定代理人』:法定代理人とは、相続人が未成年者あるいは成年被後見人である場合に、代わりに申し出を行う人です。


被相続人の住民票除票
『住民票除票』(単に『除票』とも言う)とは、引っ越しや死去などに伴って、その住所に「もう存在しなくなった人」の住民票の記録で、亡くなった方の最後の住所地に5年間保存されています。
除票の取得方法は、亡くなった方の住所地の役所の窓口に直接伺う方法と、郵送で取り寄せる方法があります。『コンビニ交付』には対応していません。
住民票除票を郵送で取り寄せる方法
- 『住民票(除票)の写し交付請求書』を当該の役所のホームページからダウンロード
- 『~交付請求書』に必要事項を記入+印鑑を押す
- 本人確認書類(免許証やマイナンバーカードなど)のコピーを用意
- 請求者の戸籍謄本のコピー
- 返信用封筒を用意
- これらをまとめて、郵便局へ行き、住民票除票発行手数料300円と送料を定額小為替(もしくは現金書留)で添えて、当該の役所へ送付
通常、1週間ほどで住民票除票が返送されて来ます。
自分が相続人であることを証明する為の全ての戸籍
ここが一番大変な部分です。相続放棄を申し入れるには、自分より相続の優先順位が高い人がいない(つまり自分が相続人である)ことを証明する為の戸籍を全て集めなくてはなりません。
正直かなり面倒な作業になりますが、何もしなければ勝手に相続されてしまうんです。相続税も発生します(国は基本的に『何もしなかった人』『知らなかった人』から自動的に税金を徴収する仕組みで私達を扱っています。なかなか厄介です)。
まずは相続の優先順位を頭に入れておきましょう。

(引用:相続弁護ナビ)
相続の優先順位は、
第1位 配偶者→子供→孫→孫の子供→……
第2位 親→祖父母→祖父母の親→……
第3位 直接の兄弟→兄弟の子供(甥・姪)→……
という序列で定められています。言い換えると、自分が相続人であるということは、自分より上位の相続人が誰も存在しないということです。『誰も存在しない』ことを裁判所に証明する為には、この「→」がどこで途切れたのかがわかる戸籍情報を提出する必要がある訳です。
整理すると、被相続人との続柄によって必要な書類は下記のようになります。
被相続人の配偶者の方、子供である方
・被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
被相続人の孫、ひ孫である方
・被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
・被相続人の直接の子全員の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
被相続人の親である方
・被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・被相続人の子(及び孫)の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
被相続人の祖父母である方
・被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・被相続人の子(及び孫)の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・被相続人の父母の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
被相続人の兄弟姉妹である方
・被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・被相続人の子(及び孫)の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・被相続人の父母(及び祖父母)の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
被相続人の甥・姪である方
・被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・被相続人の子(及び孫)の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・被相続人の父母(及び祖父母)の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・被相続人の兄弟姉妹全員の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
- 『死亡の記載のある戸籍謄本』は、『本来の相続人が亡くなっている』ことを証明する為に取得します。
- 『出生時から死亡時までの戸籍謄本』とは、『本来の相続人から、同じ順位の相続人(子供)が生まれていない』ことを証明する為に取得します。
『除籍』:『戸籍謄本(除籍)』、もしくは『除籍謄本』とは、転籍や死亡などによって、誰もいなくなった戸籍のことを指します。
『改製原戸籍』:最近の歴史上の法改正によって戸籍謄本の書式が変わる前の戸籍を指します。戸籍謄本に『改製』と印字されている場合は、改製前の戸籍(=改製原戸籍)が存在することを意味します。
故人の戸籍謄本は1通で済まない場合が多い
『出生時から死亡時までの戸籍謄本』は、1通に収まっていない場合が多いです。それは、故人が結婚や転籍などの度に本籍地を別の市区町村に移動した為です。
従って、『出生時から死亡時までの戸籍謄本』を郵送で取り寄せる場合、故人がどの時期をどの市区町村で過ごしていたのか、戸籍謄本を読んで1つ1つ突き止めなくてはならず、一式揃うのに数週間かかる可能性があります。
出来ることなら、役所に直接出向いて、窓口担当者に『この人の戸籍謄本を取れるだけ取りたい』と申し出るのが一番手っ取り早いです(役所関係者が言うには、相続手続き上、こうした申し出はよくあるそうです)。
特に書式の古い戸籍謄本は、もはや現代人には解読が難しいということも往々にして起こるので、出生時の戸籍が出て来なかった場合、『次はどこの市区町村を訪ねればいいのか』を担当者に確認してもらうのが無難です。
書類の提出方法
書類が一式揃ったら、被相続人が亡くなった時の住所地の管轄の家庭裁判所に直接持参、もしくは郵送で提出します。家庭裁判所ならどこでもいいという訳ではなく、あくまで被相続人の死亡時の住所地の管轄家庭裁判所が提出先です。
家庭裁判所の管轄を調べるには下記のページをご覧ください。
申述書を提出したら、裁判所から『照会書』という書類が送られて来ます。照会書には裁判官からの質問事項が書かれているので、必要事項を記入の上、家庭裁判所に返送してください。
相続放棄が認められると、『相続放棄申述受理通知書』が送られ、全て完了となります。
申述が却下された場合
もし、家庭裁判所から『法定単純承認事由がある』などの理由で相続放棄の申述が却下された場合などは、2週間以内であれば『即時抗告(不服申立て手続き)』を行うことが出来ます。即時抗告は、東京高等裁判所に申立てを行います。
まとめ
- 自分の戸籍謄本
- 相続放棄申述書
- 被相続人の住民票除票
- 自分が相続人であることを証明する為の全ての戸籍
尚、ご自身の相続順位が低く、血縁関係が複雑すぎる場合などは、相続人であることを証明する為の戸籍を集めるのが非常に大変なので、司法書士に一任するという選択肢もあります
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