自分が遺産相続を放棄する場合、家庭裁判所へ申述書を提出しなければなりません。しかし裁判所へ提出する書類はお堅い様式の物がほとんど。申述書へ記入する内容も表現もお堅くなりがち。
裁判所ホームページで記入例を見ながら作成したはいいが本当にそれでいいのか不安、細かい所が気になる、という方も多いのではないでしょうか。ネットで調べたら記入例を紹介するサイトが多くあり、どれが信用できるのかよく分からない事も多いでしょう。
この記事では相続放棄申述書の書き方や細かい部分の説明、申述書作成後の提出方法までをご紹介していきます。
相続放棄と相続放棄申述書について

相続放棄申述書とは、相続放棄を家庭裁判所へ申し立てする時に提出する書類です。相続放棄とは親等が亡くなり相続が始まった時に、資産や借金など全ての遺産を放棄する事です。
相続放棄を考えている場合、相続放棄には2つのパターンある事を理解しておきましょう。
パターン① 遺産分割協議
遺産分割協議とは、遺言書が存在しない相続において相続権を持つ相続人全員が参加して遺産を分割する協議の事を言います。相続人が未成年の場合は代理人も協議に参加しなければなりません。相続人が一人でも欠席した場合は協議自体が無効となるので注意が必要です。
多くの人が勘違いしているのですが、遺産分割協議では法的な相続権は放棄されません。この手法は財産を受け取らないという意思表示をするだけであって、後に借金が分かった場合は順位1位の相続人が借金を支払わなければなりません。
パターン② 家庭裁判所へ申し立てる
法的に相続放棄を行いたいなら、家庭裁判所へ相続放棄の申し立てを行う方がいいでしょう。家庭裁判所が申し立てを認めれば、申し立てを行った相続人は相続権を失い相続人から外れます。勿論後になって判明した借金も払う必要はありません。相続放棄とはこのパターン②を指します。
相続放棄は家庭裁判所へ対して行い、この時に提出する書類が『相続放棄申述書』です。
相続放棄申述書を入手する
まずは申述書を手に入れましょう。申述書は裁判所ホームページよりダウンロードする事が可能です。もし自宅にプリンタがない場合は、お手数ですが裁判所へ行けば直接受け取る事が可能です。

引用:裁判所ホームページ
相続放棄申述書の書き方
相続放棄申述書を記入する際に注意していただく所があります。それは申述人が20歳未満の未成年であるかどうかです。未成年の方が申し立てする際は法定代理人を立てなければなりません。代理人には両親のどちらかに頼んでおくのがいいでしょう。

引用:裁判所ホームページ
申述書は自筆で記入する
申述書は申述人(申し立てを行う相続人)が自筆で記入するようにしましょう。代筆でも可能ですが、相続放棄の問題は非常にデリケートです。自分自身に放棄する意思があると思わせる為にも自筆で書くとよいでしょう。
押印は認印でも大丈夫
名前の右横に押印する印鑑は実印でなくても構いません。認印で十分です。ただ公的な書類に対してシャチハタで押印する事は認められていません。必ず朱肉を用いて押印するようにして下さい。
添付書類とは
相続放棄申述書と共に提出しなければならない書類があります。以下にご紹介します。
- 相続放棄申述書
- 相続を放棄する人の戸籍謄本
- 被相続人の死亡記載のある戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
以上の4つが必ず必要になる添付書類となります。戸籍謄本や住民票は市町村役場で入手しましょう。戸籍謄本や住民票とは別に、申述書に880円の収入印紙の貼り付け、数便切手数百円分が必要になります。
未成年者・成年被後見人には代理人が必要
申述人が未成年者や成年被後見人の場合は法定代理人が必要です。代理人の方は申述書の法定代理人等の欄への記入が必要です。未成年者の場合では法定代理人は親がなる場合が殆どです。
成年被後見人とは精神上の問題により事理を弁識する能力に欠ける状況が常にある人、つまり障害者の事を指します。成年被後見人の代理人は成年後見人と呼ばれる人がなる場合が殆どです。
ここで注意して頂きたいのが、親が子供の代理人になる場合です。遺産を引き継がせたくない親の考えと遺産を引き継ぎたい子供の考えが対立している場合は、親が代理人になる事はできません。この場合は裁判所に特別代理人を選任してもらう事となります。
申述人・被相続人は戸籍謄本や住民票を見て記入する
申述人も被相続人も戸籍謄本や住民票に記載されている住所や本拠地、生年月日、電話番号等を記入するようにしましょう。難しく考える必要はありません。住民票や戸籍謄本も申述書と共に裁判所へ提出するのですからそのまま書き写すようにしましょう。
申述の理由の記載
申述書には相続放棄するに至った理由を記入する必要があります。また相続の開始を知った日、相続財産の概略を記入します。

引用:裁判所ホームページ
相続の開始を知った日
相続放棄には3か月という熟慮期間が設けられています。これは相続を開始した日ではなく、相続権があると知った日から3か月以内で、という意味です。申述書には知った日を記入する必要があります。
ここでの年月日はおおよその日にちで大丈夫です。被相続人が死亡した日に知ったなら1に〇を付け年月日を記入してください。難しく考える必要はありません。
放棄の理由
ここでも選択肢が表示されていますので、あてはまる所に〇をつけてください。2番の生活が安定しているを選ぶと認められないのではないか、と不安になる方も多いでしょうが、放棄の理由が原因で許可が下りない事は基本的にはありえまえん。
相続財産の概略
ここで記入する財産の概略は今現在分かっている分だけ記入してください。相続するにあたって財産の調査は行うでしょうが、相続放棄できる期間は3か月以内と決まっています。調査をしていたら3か月過ぎてしまった、なんて事にならないよう、分かっている分だけで結構です。
放棄の理由をもっと詳しく知りたい

相続放棄の申し立てをすると、裁判所は申述書に記入された情報をもとに受理するかしないかを判断します。基本的に受理されない事はないですが、1~5項目のどれを選べばいいのか迷う方の為に、それぞれの内容がどういった事なのかご紹介します。
1 被相続人から生前に贈与を受けている
被相続人から生前に財産贈与を受けて今回放棄する場合に選びます。相続放棄は借金を相続しない事が一番大きなメリットです。財産贈与されているからといって、後になって借金も相続するかもしれないと不安な場合は、1番に〇をつけるといいでしょう。
裁判所は申述人の不利益になる事はしません。贈与を放棄しても申述人が不利益を被る事がないと判断されれば問題なく受理されます。
2 生活が安定している
生活が安定しているという事は、遺産を相続しなくても経済的に生活していける理由となりますので、相続放棄するに足る十分な理由であるといえるでしょう。
3 遺産が少ない
遺産が少なくて相続するメリットがない場合に選ぶようにしましょう。よくある例として、不動産を相続しても借金でマイナスになってしまう場合は、3番を選ぶとよいでしょう。
4 遺産を分散させたくない
これは親が会社経営をしていて兄弟姉妹が多い家庭の場合に選ぶ選択肢です。会社経営している親が亡くなり兄弟姉妹の内の一人に事業を引き継がせたいが、事業以外に遺産がない場合は兄弟姉妹で株等を分割する事になります。
分割すると一人一人が保有する株数が少ない為に影響力を持ちにくくなってしまうデメリットが存在するため、デメリットを解消し後継者である一人に事業を引き継がせる為に、他の兄弟姉妹が相続を放棄する場合に選ぶ選択肢であるといえるでしょう。
5 債務超過のため
この理由を選ぶ人が最も多いのではないでしょうか。遺産相続を行う事で借金を持ってしまう事が考えられます。現時点で借金があるかどうかわからないが不安なので相続放棄したいと考えている場合に選ぶようにしましょう。
申述書の提出方法について
相続放棄申述書、他諸々の書類が準備できましたら提出しましょう。提出する場所は、被相続人の住所が最後にあった地区を管轄する家庭裁判所です。
人によっては家庭裁判所がかなり遠方で行くことが難しい人もいるのではないしょうか。その場合は郵送でも大丈夫です。郵送する場合は配達の追跡が可能な書留郵便で送るようにしましょう。
ただ郵送での申請の場合でも、後日に家庭裁判所から呼び出しを受けた場合は行かなければなりませんので注意が必要です。
まとめ
相続放棄申述書の作成は住民票や戸籍謄本を見ながら記入します。一番ネックとなっている相続放棄の理由も自分の現状に合った理由を選択しましょう。簡単に作成できるが故に失敗した時は取り返しがつきません。家族や弁護士などに相談しながら慎重に進めるとよいでしょう。
①相続放棄とは家庭裁判所へ申し立てる。遺産分割協議とは別である。
②申述書には住民票や戸籍謄本に記載されている内容を書き写す。
③未成年者や成年被後見人が申述人である場合は法定代理人が必要である。
④相続の開始を知った日は相続が開始した日ではなく相続権があると知った日である。相続放棄は知った日から3か月以内に申請しなければならない
⑤放棄の理由は現状の自分にあった選択肢を選択する。また放棄財産の概略は今現在で判明している財産を記入する。財産調査などを待つ必要はない
相続放棄は一生に一度の事です。放棄するにしてもしないにしても、一度家族内でじっくりと話し合う事が大切ではないでしょうか。

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