故人が亡くなってしまい、あなたの心はぽっかりと穴が開いてしまったような悲しみの中にある事と思います。
そんな中で葬儀の手続きをして無事に故人を見送る事が出来たら次に出てくるのは相続の問題です。
遺産を分割して相続をするのかそれとも遺産を放棄するのか。相続放棄をすると、そもそも故人の相続者であるという権利も失われます。
借金などのマイナスの遺産を相続しなくてもよくなりますが、土地や建物などのプラスの遺産も相続する事が出来ません。
この記事で詳しく見ていくのは、相続放棄する時に必ず必要となってくる「相続放棄申述書」と相続を放棄する理由についてです。
相続放棄申述書を家庭裁判所に送付するまでの期限は3ヶ月しかありません。故人が亡くなって四十九日が終わるまで相続の問題について何も考えないでいるとあっという間にこの期限がきてしまいそうですね。
でも、この記事を読めばそんな心配はいりません。相続放棄に必要な書類をチェックして準備をする事が出来ます。
また、相続放棄に至る理由についても取り上げています。もしかしたら、あなたと似たケースもあるかもしれませんね。どうぞ、最後まで読んでいって下さい。
Contents
相続放棄をする時、相続放棄申述書は絶対に必要!

相続放棄をする時、どんな場合にでも共通して絶対に必要なのが相続放棄申述書です。
これは、家庭裁判所宛てに送らなければならないもので、一度、受理されると取り消しは原則出来ない決まりとなっています。
相続放棄をするか決める時は良く考えて、プラスとマイナスの財産を把握した上で相続人全員が納得出来るようにしましょう。
- 収入印紙(800円分)
- 郵便切手
- 被相続人の戸籍謄本
- 相続人が被相続人の配偶者or子→被相続人の死亡の記載のあるもの
- 相続人が被相続人の両親や兄弟姉妹など(=直系親族)→被相続人が生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍謄本
- 被相続人の最後の住民票(除票)
- 申述人の戸籍謄本
上記の5点が必要となってきます。
慣れない手続きになるかと思うので、3ヶ月以内に手続きが完了出来るように早い段階から書類の準備や申述書の作成などの準備に取り掛かっておくのがベストです。
トラブルが起こりやすいので、相続放棄が詐欺や脅迫で行われる場合も十分に考えられます。未成年が法定代理人の許可なしで相続放棄申述をするといったケースもあるみたいです。
そのようなときには、受理された後でも追認出来る時から6ヶ月以内であれば、取り消しが出来ます。頭の片隅にでも入れておくと役にたつかもしれませんね。
間違いのないように正確に記入しよう

手続きをした事がないと相続放棄申述書を書くのは難しいと思ってしまうかもしれませんが、書き方が分からないような難しい内容はほぼありませんのでご安心下さい!書式に沿って書き込んでいけば大丈夫です。
上記の画像の「申述者欄」には相続を放棄する人の戸籍と住所と氏名を記入します。本籍は、戸籍謄本を確認しながら間違いのないように気をつけてくださいね。
申述人欄の下に法定代理人欄があるのでそこに親権者の情報を書き込む
被相続人欄にも同じように故人の生前の戸籍と住所、職業などを記入します。職業は会社名まで書かかず、会社員または自営業といった具合で十分です。
死亡日は、故人が亡くなった日が相続が開始した日となるので間違えないように住民票や戸籍を確認下さい。
理由欄には「相続放棄をする」という旨を書きましょう。上の画像のような記載で問題ありません。
相続の開始を知った日は「被相続人が亡くなった日」または「被相続人が亡くなった事の連絡を受けた日」、「先順位の相続人が全員、相続放棄した事を知った日」のいずれかになります。
相続を知った日から3ヶ月以内に行わなければいけない相続放棄の手続きに関しては、相続を知った日がいつなのか議論になる事もあります。議論がトラブルに発展することも考えられるので、そんな時には弁護士や司法書士などの専門家に相談をすると良いでしょう。
相続財産の概略欄には被相続人が持っていたプラスとマイナスの財産の両方を調べて書きます。
申述書の記入について詳しくはこちらも併せてご確認下さい。
申述書が受理されるまでの手続き~故人の死亡から受理、提出後までの流れ

相続放棄申述書の記入と必要書類をそろえる事が出来たら申述書を被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出しましょう。
- 相続人が住んでいる地域の家庭裁判所では受付不可
- 絶対に相続人全員がまとめて提出をしなければいけない訳ではない
※共通する書類が多いので一緒に提出した方がスムーズです。
郵送でも送る事が出来ますが、家庭裁判所の窓口に行けるのであれば、持参がおすすめです。漏れやミスがあった時に、その場で訂正出来るので相続放棄完了までの期間を短縮する事が出来そうです。
相続放棄にはどれくらいの期間が必要?
「手続きを3ヶ月以内に」という期間は相続放棄申述書の提出までの期間の事です。
申述書を提出した後には、家庭裁判所から「相続放棄の照会書」が届きます。こちらに書かれている質問に対する答えとして回答書を返送します。
- 相続放棄申述書の作成
- 書類の準備
- 裁判所へ提出
- 裁判所から届く相続放棄の照会書を返送
- 相続放棄申述書受理通知書が交付されたら完了
あなたが送った申述書が家庭裁判所に届くと約1~2週間で相続放棄照会書と回答書が一緒に送られてきます。
質問の中には申述書と同じ内容の質問もありますが、これは申述された内容に誤りがない事を再確認するためのものです。回答書は相続放棄の意思が誰かに頼まれたり強要されたものではなく、あなたの意思であるという事を証明するためのものなので必ずご自身が記入して下さい。
そのほかにも、鉛筆ではなくボールペンを使用する事、期限内に返送する事、代筆を頼む場合には相続人以外の方に頼むなどの注意点もいくつかありますので相続放棄照会書・回答書の見本をご確認下さい。
さらに、回答書が家庭裁判所に届いてから約2週間で「相続放棄申述受理通知書」が手元に届きます。この段階で相続放棄の手続きは完了です。
この通知書は、不動産の相続登記や被相続人の債権者などから提出を求められる事があります。
その際、通知書のコピーで良い場合もありますが、相続放棄申述受理証明書でなくてはいけない場合もあります。証明書が必要なときには改めて家庭裁判所に申請をしなければ発行してもらえません。発行してもらう場合には、申請の手続きの書面をご確認下さい。
- 印鑑
- 相続放棄受理通知書
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 150円分の収入印紙
- 返信用の切手(郵送の場合のみ)
上記の準備をして相続放棄をした際の家庭裁判所の窓口で受付、または郵送をすると交付してもらえます。
- 通知書→1枚しか発行されない、相続放棄をした本人のみが家庭裁判所に発行出来る
- 証明書→何枚でも発行出来る、相続放棄をした本人でなくても一定の利害関係があれば発行可能である
こんな場合はどうする?迷った時は専門家に相談!
相続放棄の場面に遭遇する事は日常において滅多にある事ではないですよね。
ネットなどで調べて頭で理解はしていてもいざ自分で全てを揃えて手続きをするとなると不安になったり、分からない事も出てくるかと思います。
そんな時は1人で抱え込まずに弁護士や司法書士などの専門家に相談をすると良いですね。どのような時に相談すべきかは、ボックスの中をご覧下さい。
- 期限まで1か月を切っている時
- 期限を過ぎてから被相続人の借金が判明した時
- 相続放棄をした方がいいか迷っている時
- プラスとマイナスどちらの財産が多いか分からない時
期限まで時間がない場合には、申述書や書類の作成を専門家に頼むという手もあります。
申述書の提出は被相続人が亡くなった事を知った日から3ヶ月以内ですが、相続放棄が出来なかった理由が家庭裁判所で認められると期間を延長してもらえる時があります。
例えば、被相続人の死亡の連絡がなかったり相続財産がどのくらいあるか把握出来なかったり相続権が自分にある事を知らなかったりした時です。このようなこと起こることも考えられます。
期間が過ぎたからと諦めるのではなく、まずは相談をしてみましょう。依頼をすれば相談にのってもらえるだけではなく、相続放棄に関する手続きも全て任せる事が出来るので安心です。


相続放棄申述書について疑問がある時は弁護士に相談
相続放棄の手続きを全て自分で行えば費用は数千円ですみますが、専門家に依頼をするとやはり費用がかかってきます。このような感じです。
- 弁護士→3~15万円
- 司法書士→3~7万円
司法書士よりも弁護士に依頼をした方が費用が高くなっています。これは司法書士が不動産登記の専門家であるのに対して、弁護士は法律的な相談から書類の作成や申述書の提出までトータル的なサポートを任せられるからです。
司法書士は申述書の作成のみしか行う事が出来ません。また140万円を超える遺産がある場合には相談や和解・代理を行う事が出来ません。司法書士では法律トラブルの解決は出来ないんです。
費用に余裕があるのならトータル的なサポートをしてくれる弁護士に依頼をした方が安心だと思いますよ。
詳しくは、こちらの記事を併せてご確認下さい。
相続放棄の理由として考えられることとは?

どのような理由があって相続放棄を考えていますか。一度受理されると撤回する事は基本出来ないのでその理由を明確にしておく事が大切です。
- 被相続人から生前に贈与を受けている
- 生活が安定している
- 遺産が少ない
- 遺産を分離させたくない
- 債務超過のため
上のボックスの5項目が申述の理由としてあらかじめ記載されています。提出をする際、この中に当てはまる理由があれば番号に〇を付けるだけで大丈夫です。
「被相続人の債務が多くて相続放棄をしたい。でも、生活が安定しているといった理由を正直に書いたら債務を返済出来ると判断されて、申述が受理されないのではないか」と心配な方もいらしゃるかもしれませんが、そんな事はありません。
理由が原因で申述が受理されないという事は基本的にはないようなので安心して下さいね。
被相続人の生前に贈与を受けていても相続放棄は出来る!!
相続についての話し合いを相続人間でする時に、生前贈与をもらっていたかという事が問題になる事があるようです。
生前贈与というのは、被相続人が生前の間にあなたに与えた資産の事を言います。例えば、学費であったり土地であったり結婚資金であったり。
「生前贈与をもらっているんだから相続の取り分はその分減額されるべきでは?」と他の相続人と揉めたりする事があるかもしれませんが、これは話し合いで解決するしかありません。
もしも、自分たちだけの話合いでどうにも解答が出せないという場合には弁護士などの専門家に相談して助言を求めて下さい。
ちなみに、生前贈与を受けていても相続放棄をする事は出来ます。
- 相続開始を知った日から3か月以内に相続放棄の申述をする事
- 法廷単純承認(=プラスの財産もマイナスの財産も全て相続する)が成立していない事
上記の条件を満たしていれば出来るということです。
しかし、生前贈与を受けていた受贈者が相続放棄をすると、1つ問題が発生してしまう事があるのです。それは、詐害(さがい)行為という問題です。
例えば、被相続人が借金を持っていた場合、債権者に資産を返さなければいけない事を知りながら贈与などに財産を減少させる事を言います。
いわばこの行為は債務を取り返せない事を知りながら行われた行為であるとみなされて、債権者によって贈与が取り消されてしまう事があります。
- 被相続人(故人)の債権者の場合
→相続放棄した相続人に対して財産を減少させる行為=詐害行為であるとして取り消し
→相続放棄自体は相続財産を減少させる行為ではない・相続放棄のような身分行為に他人の強制的介入を認めるべきではない
- 相続人(あなた)の債権者の場合
→詐害行為取消権の行使を認めたら他の相続人の相続分にまで影響が出る
上記の事例のような時、相続放棄を取り消すのは難しいようです。ですが、被相続人から遺産を相続する事を推定出来る相続人に生前贈与を行った場合には債権者による詐害行為取り消し権を行使する事が出来ます。
例えば、被相続人が債務超過を負っていたのを知っていて贈与を受けた場合は贈与の事実を債権者が知った日から2年間の間は生前贈与を取り消す事が出来るようです。
相続放棄をすると、遺留分減殺請求が出来ない
あなたは遺留分という言葉を聞いた事はありますか?なかなか聞きなれない言葉だと思います。被相続人が亡くなった後に故人の(相続)財産がないと生活が困難になってしまうような場合に適用される相続人の権利を保護するための法律です。
- 配偶者・直系卑属のどちらか一方でもいる場合→相続財産の2分の1
- 直系尊属だけの場合→相続財産の3分の1
- 兄弟姉妹だけの場合→遺留分はない
この制度で最低限の財産の相続を確保出来ます。相続による遺留分を他の相続人によって侵害をされていた場合に侵害している相続人に対して侵害分を請求出来る権利があります。これが遺留分減殺請求です。
この請求は、あなたが生前贈与を受けていなくて相続人の中に生前贈与をもらっている方がいた場合に使える制度ですね。遺留分減殺請求の方法は、特に決まりはありません。
また、受贈者又は受遺者に対する意思表示だけで効力が生じるとされていますので、必ずしも 裁判上の請求による必要はありません。明確な意思表示だけで足りるという事です。
引用 相続・遺言相談センター
遺留分が侵害されている事が分かって減殺請求をしたい時には、請求をする相手に「請求を行使」するという場合、相手に対し「遺留分減殺請求権を行使する」と意思表示をしましょう。それがないと認められません。
必ず裁判をしなければいけない訳ではなく、内容証明による郵便でも問題ありません。内容証明の場合は債権者、債務者の名前・債権の発生原因・債権額を記載して郵送します。振込みで請求に応じてもらえる場合には口座番号の記載も必要です。
もしも、相手が遺留分減殺請求を断った場合は家庭裁判所に調停を申し立てたり訴訟を起こす事で対応して下さい。
ここで注意をしてほしいのが相続放棄をすると遺留分減殺請求は出来ないという事です。相続放棄の時点で最初から相続者ではなかったという事になるので遺留分もなくなってしまうのです。
被相続人が遺言などで生前贈与した財産を戻さなくてもいいという意思表示をしていないと生前贈与は請求の対象になってしまいます。生前贈与は、主として相続税対策として多く利用されます。贈与税は年110万円までであれば課税されません。
そのため、毎年少しずつ財産を贈与されることで、将来の相続税対策として利用することができます。
1.債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者(以下この款において「受益者」という。)がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
引用 新民法条文
債権者の利益を守るために家庭裁判所によって贈与が取り消されてしまう事もあります。被相続人が残した財産の情報を全て把握しておく事が大切です。
110万円以下の贈与である場合には贈与税はかからないので被相続人の生前の内から生前贈与をしてもらい相続税の対策をする事は出来ます。
しかし、家庭裁判所が生前の相続放棄は受け付けていないので相続放棄は生前中には行えません。
相続人の1人に遺産を集中させる方法はある?
相続を放棄する理由として遺産をひとりの相続人に集中させたいからという理由もありました。わかりやすく例を挙げると、被相続人に子供が2人いて長男が実家の企業を継いでいるとします。
次男は企業の継続を願っていて自分が相続分を相続すると企業経営が難しくなるのではないかと心配して相続放棄をするという事です。
近くに住んでいて話し合いが出来るのであれば遺産分割協議(=相続人間の話し合い)を行って1人に相続を集中させるという方法もあります。
- 遺産分割協議=相続人が合意すればどのような内容でもいい
- 相続分の譲渡=自分の相続分を第3者に譲渡する事
- 相続放棄
遺産分割協議や相続分の譲渡が相続放棄と異なる点は相続債務=借金の取り扱いです。
相続放棄をすると、そもそも相続人ではなかった事になるので、もちろん被相続人の借金を支払う義務もなくなります。
一方で、遺産分割協議は相続人同士で話し合いをして遺産分割協議書を作成すれば相続放棄をして相続を集中させる事が出来ます。
しかし法的な相続放棄ではなく「財産を受け取らない」という意思を相続人同士で確認したものなので相続権は残ったままになるんです。被相続人に借金があった場合は払わなければいけないという事になってしまいます。
被相続人の借金を完全に放棄したい時には家庭裁判所に相続放棄申述書の申し立てをすることになります。
一番多い理由は被相続人の債務超過
相続放棄という言葉を聞いて私が1番始めに思い浮かんだ理由は被相続人に債務超過があった時です。
自分が背負ったわけではない借金を代わりに支払うというのは生活に余裕がなかったり安定している生活をしていたとしてもストレスに感じてしまうのではないでしょうか?
無限債務あるとか明らかに債務超過なら相続放棄もいいですが、プラマイ分からないときは限定承認の方がいいんでないの?
— 久保χ里 (@vvvmppp) March 21, 2014
実際に、借金などのマイナスのものの方が多い場合は相続放棄をする方が多いみたいです。
被相続人の負債を抱えないという点で見ると、相続放棄の他に限定承認という方法もあります。相続人が、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を引き継ぐというものです。
言葉だけでは少し分かりにくいかと思うので例を挙げると、被相続人の遺産の中に相続するプラスの財産(土地や建物など)が200万円・マイナスの財産(借金など)が1000万円あった場合にプラスの財産分だけを相続するというものです。
つまり借金もプラスの財産分の200万円だけ支払うということになります。単純相続をすると財産を全て引き継ぐ事になりますし、逆に相続放棄をすると財産を全て引き継がない事になってしまいますよね。
一方で限定承認をすると、プラスの財産の範囲内で部分的にマイナスの財産を引き継ぐ事が出来るので相続者の負担が減るというメリットがあります。
マイナスの財産のほうがプラスの財産よりも多い事が分かっている場合には相続放棄をした方がいいと思われますが、マイナスの財産の金額が明確に分かっていない場合には限定承認も検討してみてはいかがでしょうか?
相続放棄も限定承認もその申述は相続開始を知った日から3ヶ月以内と決まっています。1点異なるのは申立方法です。相続放棄は単独で申述が出来るのに対して限定承認では相続人全員の同意がないと申述する事は出来ません。
- 相続人および相続財産の調査
- 他の相続人との限定承認の是非に関する協議
- (熟慮期間伸長の申立て 必要な場合のみ)
- 申述書および財産目録の作成
- 添付書類(戸籍謄本等)の準備
- 限定承認の申述
- 照会への回答や資料の補完
- 限定承認受理通知書の受領
- 官報公告
- 請求申出の催告
- 鑑定人選任申立て、先買権の行使
- 相続財産の換価
- 相続債権者および受遺者への弁済
- 残余財産があれば遺産分割および相続財産の取得
債務を清算したりしないといけないので時間と手間がかかってきます。手続きを進めていく中で何か分からない事が出てきたときには迷わず専門家に相談するようにしましょう。
限定承認をするには、まず始めに被相続人の財産がいくらあるのか確認しなければいけません。
- 債権者の相手が個人だった場合→書類を交わしていない事が多いので確認するのは難しい。(もし、契約書や借用書などがあれば確認出来る)
- 債権者の相手が消費者金融やカード会社の場合→返済日を過ぎても入金がなければ電話や郵便などで督促がくる
- 債権者の相手が金融機関の場合(銀行など)→通帳を見て、債務の引き落としと思われるような引き落としはないか確認(毎月の返済日に引き落としを利用している事も多いため)
相続放棄をする主な理由は以上の5点になりますが、実はこのほかにも相続者が考える相続放棄の理由があります。今あなたが置かれている状況に当てはまる項目はありましたか。
もしも状況が似ていて困っているのなら相続放棄や限定承認という方法を検討してみてもいいかもしれませんね。
相続放棄のその他の理由

上記の5つは相続放棄申述書にある理由です。それぞれ場合のメリットやデメリットを知った上で損になる事がないようにしたいですね。
調べてみると、この他にも放棄の理由として挙げられるものがいくつかあったのでご紹介します。
- 相続争いで揉めたくない(遺産分割の争いに巻き込まれたくない)
- 相続人と疎遠
- 取得したい財産がない
- 生命保険を受け取る事が出来る
- 被相続人が保証人になっている
- 被相続人が訴えられていた
相続を放棄するという事は相続の権利自体が一切無くなってしまうという事です。財産の金額やプラスとマイナスの財産の比率などを全て把握しないまま行ってしまうと不利益になってしまう事もあります。
そこで、裁判所は申述人が不利益にならないかを判断する材料として申述書の提出を求めているそうです。相続放棄が周りの相続人や関係者などから強制されたのではないという事を証明するためにも理由をきちんと記載する事が大切です。
揉めるのは勘弁。トラブルを避けるための相続放棄
被相続人との関係がより深かった相続者の方から優先的に相続される事になります。しかしながら、財産がどれくらいあるのか、どのくらいの割合で遺産を分割するのかなどトラブルになってしまう事もあるようです。
厄介な問題ごとには巻き込まれたくないという人が大半ですよね。
負の遺産がなくても遺産相続から辞退することは可能なのでしょうか?
相続を辞退したい理由は、相続問題に巻き込まれたくないからです。
引用 ヤフー知恵袋
故人の遺言書などがあったとしてもその内容をめぐって言い争いになってしまう事は少なくはないのです。相続によってトラブルが起きた事で今まで仲の良かったほかの相続人の方たちとどこか気まずい関係になってしまうことも考えられます。そうはなりたくないですよね。
また、ただでさえ故人が亡くなって精神的にも不安定なのに、その上に相続の事でも頭を悩ませてしまっては追い込まれてしまいそうですよね。そんな状況におちいって相続放棄を決断するという人もいます。
このように、相続人同士の関係が悪かったり、相続をめぐってトラブルに発展しそうな場合に相続放棄をするというのもひとつの理由として考えられます。
みなし財産を把握した上で決めることも重要!
相続税の計算方法については税理士監修のこちらの動画をご確認下さい。
初めての方でも間違える事なく相続税の計算が出来るように図を使いながら分かりやすく解説してくれているのでおすすめです。
遺産を相続すると相続税がかかります。相続放棄をしたら相続税は払う必要がなくなるのかというと、実はそうではありません。
私は相続放棄は被相続人からの相続を一切放棄するという事なので税金もかかってこないものだと思っていましたが、被相続人が生命保険に加入していた場合には税金がかかってくるようです。これを知った時は驚きました。
また、生命保険や死亡保険は「みなし財産」と呼ばれている民法上の相続財産ではないのですが、課税対象となる財産です。相続税の計算に深く関わってくるので注意しましょう。
- 生命保険金
- 死亡退職金
保険金の受取があなたになっていた場合、被相続人の死亡に伴ってあなたの手元にお金が入ってきますよね。
だから法律上は相続財産ではありませんが、死亡によって財産を取得する事になるので税法上では相続財産とみなされて扱われます。
保険契約者が保険料を出しす事で病気や怪我・死亡等によってお金を必要になった人が給付金や保険金を受け取る事が出来る仕組み
生命保険は被保険者が亡くなった時にもらえるお金となるので課税の対象となります。ちなみに、非課税になるのはこのような時です。
500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額
しかし、取得した額がそれほど高額でない時には非課税となるので覚えておきましょう。
- みなし財産は遺産分割の対象にならない(被相続人が所有していた財産ではないため)
- 遺産分割の際に揉める原因になる事がある(みなし財産も遺産として認められるため)
例えば被相続人が長男には民法上財産となる家を残して次男には現金を残したいと考えていたとします。
次男に渡す現金を手渡しや預貯金で財産として与えるのではなく次男を生命保険の受取人にしていたとしたらどうでしょう?
生命保険や死亡保険は民法上では相続とみなされていないので、次男が受け取った被相続人の保険金は次男固有の財産となる訳です。


みなし財産をふまえた上で相続税を考えると、マイナスの財産よりプラスの財産が多くても相続放棄をした方がいいと考えられることもあります。以下の例です。
- 被相続人の財産が3000万円の預金と4000万円の借金、それにプラスして2000万円の生命保険
相続をした時に手元に残るお金=3000万円+2000万円-4000万円=1000万円
相続放棄をした時に手元に残るお金=2000万円(生命保険分) 相続放棄をした方が得
- 被相続人の財産が3000万円の預金と4000万円の借金、それにプラスして1000万円の生命保険
相続をした時に手元に残るお金=3000万円+1000万円-4000万円=0
相続放棄をした時に手元に残るお金=1000万円(生命保険分) 相続をした方が得
相続分割を決める時などは、「みなし財産」もしっかりと把握した上で相続人全員が納得出来る答えを出す事がポイントになります。
被相続人が保証人になっていたり訴えられていた時には相続放棄を検討
被相続人が借金を背負っていた時は相続放棄で借金の返済義務はなくなります。
しかし、あなたが被相続人の借金の保証人となっていたら相続放棄をしても保証人としての義務を放棄する事は出来ないので返済が出来なかったら支払わなくてはいけません。
被相続人が訴えられていた場合に相続をするとなると、被告人としての立場も引き継がなくてはいけません。こんなことまで引き継がなければならないなんてびっくりですよね。
もしも、被相続人の裁判に関して何も事情を知らなかったり、裁判が難しくなると思った時には相続人全員と話し合って相続放棄の申し立てをすると良いと思います。
相続放棄をしたとしても次の相続人が財産の管理が引き継がれるまでの期間はあなたに土地や建物などの財産を管理する責任があります。
何回かお話しているとおり、相続放棄は一度申述書を受理されると基本的に取り消しは出来ません。なので、決定するときにはよく考えて決定をするようにしましょう。
その際にそろえておくべき書類は他にもあります。相続放棄の際に必要となる書類とその書類の提出先に関しても詳しくまとめてみましたので是非、参考にして下さい。
まとめ
今回紹介した内容で特に重要な点は以下の通りです。
- 相続放棄をする時は相続放棄申述書が必ず必要
- 申述書は記入ミスがないように戸籍を確認しながら正確な情報を記入
- 申述書や相続放棄に関して分からない事がある場合には専門家に相談
相続放棄申述書と相続放棄の理由についてみてみると被相続人の財産をきちんと把握しておく事がとても大切だという事が分かったのではないでしょうか。
相続については、さまざまなトラブルを引き起こすことも考えられるので、なにか困ったことがあったら弁護士などに相談すると安心です。
また、この記事で紹介している限定承認や相続税の計算などもしっかりと頭に入れておくと、いざという時に焦るといった心配はありませんよ。
この記事から不安を少しでも取り除く事が出来るよう願っています。
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